ボリビア内政・外交(2024年1月)

令和6年2月1日

1 内政

(1)司法選挙関連

 ア 現職判事の任期延長 
 1月2日、昨年12月の憲法裁判所(TCP)の裁定により、現職の司法官(判事等)の任期が正式に延長された。
 1月5日、チュキサカ県地方検察庁は、司法選挙実施延期を決定した現職判事の職権乱用を訴えていた野党議員の告訴を受理したと発表した。
 同日、ランチパ検事総長は、1月2日付けの議員の告発状を033号手続きによりチュキサカ県地方検察庁に送致し、分析班に検察庁法260条に基づく権限を行使するよう指示したとした。
 1月11日、モリナ最高司法裁判所(TSJ)判事が、トレスTSJ長官の後任として、新たにTSJ長官に就任した。
 モリナ新TSJ長官は、司法選挙の速やかな実施に向けた取組を国会に要請するとし、今回の任期延長に関する決定は憲法に基づくもので、疑問は呈されるべきではない旨発言した。
イ 任期延長された司法官の辞職 
 1月2日夜、カルロス・カルデロン憲法裁判所(TCP)判事が辞職、翌3日にはタリハ・フリア・コルネホTCP判事も辞職した。
 1月10日、エステバン・ミランダ最高司法裁判所(TSJ)判事が辞職した。
 1月18日、エルバ・テルセロス及びアンジェラ・サンチェス農業環境裁判所判事が辞職した。
ウ 司法官の任期延長に対する抗議活動 
 1月22日、モラレスMAS党首支持者は、任期が延長された司法官の速やかな辞任と、司法選挙の早期実施を求めてボリビア各地における道路封鎖を開始した。
 1月24日、チョケワンカ副大統領は、モラレス支持派が行っている道路封鎖について、ボリビア人は分裂、対立、妨害行為に疲れていると述べ、封鎖が国を停滞させると警告した。
 1月25日、セーニャ・ボリビア農民労働者統一連合(CSUTCB)事務局長は、モラレス派グループによる道路封鎖への不支持を表明し、封鎖という手段が、ボリビア経済に損害を与え、アルセ大政権に影響を与えようとする手段として利用されているとして非難した。(当館注:1月29日時点で合計25の道路封鎖が行われ、ボリビア経済にも多大な影響を与えた。)
エ 国会における司法選挙実施に向けた動き 
 1月8日、ハウレギ(Juan Jose Jauregui)下院憲法委員会委員長は、同委員会のメンバーが、司法選挙が今年実施されることを保証するための法案を作成中であるとした。

(2)ボリビア多民族国建国15周年

 1月22日、ボリビア政府は、大統領府において、社会的・経済的成果を振り返る式典を執り行い、多民族国家としての創立15周年を祝う式典を開催した。
 アルセ大統領は「15年前、国民の意思と決断により、ボリビアは、社会、経済、政治、文化的な生活を組織する国家のあり方において、曲がり角を迎えた。支配と搾取を正当化するさまざまな国家形態から、経済的独立と政治的主権を獲得するため、私たちは別の国家形態へと移行した。」と演説した。

(3)カマチョ・サンタクルス県知事の裁判の動向他

 ア マリオ・アギレラ副知事の代理知事就任
 1月2日、憲法裁判所は、カマチョ県知事が勾留されている間、マリオ・アギレラ副知事が代理知事として県政を行う旨命令する判決を下した。
なお、同判決についてカマチョ県知事は副知事を強く非難し裏切り者とののしった。また同判決は副知事派とサンタクルス県議会議長とカマチョ県知事派の分裂を起こしており互いの非難合戦に及んだ。
 1月4日、ズボンコ・マトコビック(Zvonko Matkovic)サンタクルス県議会議長は同判決に対する見直しを求め上訴したことを明らかにし、同判決はサンタクルスだけの問題ではなく、あらゆる自治体を破壊するものであると訴えた。しかし、1月10日、憲法裁判所はこの上訴を棄却し、最高裁による速やかな副知事による知事就任を求める判決を支持する旨判決を下した。
 1月26日、アギレラ副知事のサンタクルス県代理知事就任式が行われた。
イ ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)による報告
 1月11日、HRWは、カマチョ知事及びアニェス前暫定大統領の拘束に関する調査書を確認した結果、テロ犯罪を正当化する証拠はないと報告した。また、アルセ大統領は司法制度を改革し、司法の独立を保証するという義務を履行しなかった旨も報告している。
ウ 国勢調査を巡るサンタクルス県36日間ストライキ事案
 1月16日、ラパス県地方裁判所第一反汚職法廷は、国勢調査ストライキ事案にかかるカマチョ知事の予防拘禁の期限満了要求を却下し、2月27日まで予防拘禁を延長した。

 

2 外交

(1)イランとの関係

 1月3日、イランのケルマーンで発生した爆破事件に対して非難するとして、「ボリビア外務省は、1月3日にケルマーンで発生したイラン・イスラム共和国に対する攻撃を拒絶することを表明する。同地では、コッズ部隊及びイラン革命防衛隊の司令官であるカセム・ソレイマニ将軍の追悼式典が行われていた。併せ、100人以上の死者と200人近い負傷者が出たことについて、最高指導者ハメネイ師とその指導部、そしてイラン国民との連帯を表明するとともに、犠牲者の家族への哀悼の意及び連帯を表明する。」旨表明した。

(2)イスラエル・南アフリカとの関係

 1月7日、ボリビア外務省は、南アフリカ共和国が2023年12月29日、イスラエルによるガザ地区のパレスチナ人に対するジェノサイド条約上の義務違反に関して、国際司法裁判所(ICJ)にイスラエル国を提訴した歴史的な行動を高く評価する旨のコミュニケを発出した。

(3)エクアドルとの関係

 1月9日、ボリビア外務省は、エクアドルの治安状況の悪化に対してエクアドル当局に連帯の意を表明する旨のコミュニケを発出した。

(4)非同盟国首脳会合及びG77+中国首脳会合

 1月19日から22日までウガンダにて開催された非同盟運動首脳会合及びG77プラス中国首脳会合にボリビアからはソサ外相が参加した。
 なお、ソサ外相は同地にて、インド外相、ニカラグア外相、ベネズエラ外相、ロシア外務次官、サウジアラビア外務次官、南アフリカ国際関係・協力相及び中国特使とそれぞれ会談した。

(5)中国との関係

 1月31日、新たに着任した王亮(Wang Liang)駐ボリビア中国大使は、アルセ大統領に信任状を提出した。アルセ大統領は公平で合理的な国際秩序の構築を中国とともに推進することに関心を示すとともに、習近平国家主席を賞賛し、ボリビアが中国との同盟を非常に重視していることを強調した。

 

3 日本との関係

(1)1月1日、ボリビア外務省は能登半島地震について、日本への連帯を表明するメッセージを外務省Facebookにて発信した。

(2)1月16日、小野村駐ボリビア特命全権大使は、ソサ外相を表敬訪問し、両国の関心事項について意見交換をした。