2024年10月 ボリビア経済情勢

令和6年11月1日

1 経済指標など

      当月  前月(最終更新値)  累計  前年同月 (23年10月) 前年累計 
(1)   インフレ率  1.64% 0.88% 7.26% ▲0.01% 1.48%
(2)   都市部失業率  - 3.41%
(2024年6月)
- 3.48% -
(3)  外貨準備高  19億7,000万 19億500万
(2024年8月)
- - -
(4)  対外債務  134億300万
(2024年5月)
- 134億2,300万 -
(5)  対内債務  199億7,300万
(2023年11月)
- 199億7,300万 -
(6)  天然ガス輸出額  1億3,700万
(2024年8月)
- 1億6,700万 17億3,100万
(7)  鉱物資源全体の輸出額  2億8,000万
(2024年8月)
- 2億900万 -
(8)  燃料輸入額  1億9,800万
(2024年8月)
- 2億5,700万 24億4,200万
(9)  貿易収支  5,100万
(2024年8月)
- ▲6,600万 ▲1億2,900万
(10)  金輸出額  3,900万
(2024年8月)
- 2億4,300万 22億5,600万
             
    ※累計:本年1月~当月(最終更新月)の累計          
  ※前年累計:前年1月~前年の当月の累計

注:上記情報は2024年10月時点データ


 

2 経済関連動向等

(1)ボリビアのBRICSパートナー国加盟

 10月23日、ロシアのカザンで開催された第16回BRICS首脳会議にて、ボリビアのBRICS「パートナー国」加盟が承認された。ボリビアの対BRICS貿易収支は今年8月時点で5億米ドルの赤字を記録しており、同経済圏から4,839品目を輸入、輸出は鉱物資源を含む157品目となっている。
 アルセ大統領は、同会議にて「ボリビアは天然資源が豊富な国であり、世界有数のリチウム埋蔵量を誇り、天然ガス、伝統的鉱物、レアアースも重要な埋蔵量を有している。我々は工業化の過程にあり、BRICSへの参加はこの過程において相互利益をもたらす」と述べた。
 なお、サンタクルス輸出・物流・投資促進会議所(Cadex)は「中国、ロシア、インド、ブラジルなどの大きな市場へ参入する機会は、どのような貿易協定を結ぶかにかかっており。BRICS加盟国への輸出を多様化できるよう、関税の優遇措置や貿易障壁の撤廃を盛り込むべきだ」と分析している。
 

(2)チリ・ボリビア貿易協定

 ボリビア・チリの貿易促進及び経済関係強化のため、経済補完協定第22号(ACE-22)の運営委員会第23回会合の枠組みの中で、貿易促進に関する覚書と電子原産地証明の実施に向けたロードマップが署名された。
 会合では、市場アクセス、衛生植物検疫措置、観光や貿易促進などの分野における協定の更新について協議がなされた。この協定には、関税優遇措置や、牛乳、牛肉、オレガノ、アボカド、リャマ肉製品及び副産物、アマゾンの果物、ピーナッツ、アーモンド、蜂蜜、卵などボリビア製品のチリ市場における認可が含まれている。
 

(3)インフレ率予測

 アボリビア国家統計局(INE)が発表した最新データによると、2024年9月の消費者物価指数(CPI)は0.88%の上昇を記録した。この値は、8月(1.58%)に次ぐ今年2番目の高さとなり、現在までの累積インフレ率は5.53%と、当初ボリビア政府が見込んでいた今年のインフレ率3.6%を大幅に上回る結果となった。
 また、エボ・モラレス元大統領の支持者たちによる道路封鎖の影響もあり、都市部では一部の食料品不足と価格上昇が深刻化している状況であり、今後もインフレ率は上昇することが予想されている。このままインフレ傾向が続けば、2024年までのボリビアの累積インフレ率は7%から9%に近づくとエコノミストは予測しており、2023年に記録された2.12%を大幅に上回る結果となる。
 なお、コチャバンバ民間企業連盟(FEPC)によれば、道路封鎖による経済的損失は全国で4億2,000万米ドルに上り、農業、ガストロノミー、輸送、生産、その他を含む全セクターに影響を及ぼしている。
 

(4)世界銀行によるボリビア経済成長予測

 世界銀行は、ボリビアが今年1.4%の「低い経済成長」を記録し、ラテンアメリカ平均の1.9%を下回るとの予測を発表した。
 世銀は、2025年と2026年の同国経済成長率を1.5%と予測しており、また、国際機関によるボリビア経済の成長予測は、成長率が2%を超えることはないという点で一致。モンテネグロ経済相も、今年のボリビア経済成長率を2.5%以上になると当初の見通し(3.6%)を下方修正した。
 

(5)ボリビアのカントリーリスク指標

 JPモルガンの新興国債券指数(EMBI)に基づくブルームバーグ・リネアの最新レポートによると、ボリビアのカントリーリスク(10月15日現在1,801ポイント)はラテンアメリカでベネズエラに次ぐ高い数値となった。カントリーリスクの上昇は、経済の不確実性の増大、財政赤字、国際準備の不足、政治的不安定性などが主な要因となっており、投資にとって不確実な状態を生み出している。
 JPモルガンのEMBI指標は、ボリビア中央銀行の純国際準備高(NIR)が減少するにつれて上昇し始め、2023年には悪化した。8月31日現在のNIR水準(外貨はわずか1億5300万ドル)が判明した今年9月初めの時点で、同指標は過去最高の2328ポイントを記録。外貨準備の金売却は外貨準備の安定に役立っているが、国内経済の安定にはマイナスの結果をもたらしている。
 

(6)対外貿易の円滑化に向けた輸出入手続きワンストップ窓口の設置

 同デジタルプラットフォーム(VUCE)により貿易関連手続きを一元化し、輸出認証に要する時間を最大で5日まで短縮可能となる。今後、関連する25の公的機関が本プラットフォームに適応するため、2年以内に各システム・ソフトウェア等技術を開発・整備を進めていく。ボリビア輸出商工会議所(Caneb)のダニロ・ベラスコ会頭は、これは8月に政府と民間企業との間で交わされた17の合意の一部であり、その実施により輸出が促進されると述べた。
 

(7)Expocruzの成果

 9月29日までサンタクルス市にてラテンアメリカ最大級の総合見本市「Expocruz」が開催された。今年の成約見込み額は2億300万ドルで、2023年の2億940万ドルを下回り、来場者も420,836人となり、昨年より約4万5千人減、参加した国際企業はも同様に約300社減。経済危機がすべての生産・商業部門に影響を与えており、これらの結果はボリビア経済活動の後退を示すものとなった。