2024年3月 ボリビア経済情勢

令和6年4月1日

1 経済指標など

      当月  前月(最終更新値)  累計  前年同月 (23年3月) 前年累計 
(1)  インフレ率  0.46% 0.2% 0.74% -0.08% -0.19%
(2)  都市部失業率  4.2%
(2023 年12月)
     
(3)  外貨準備高  17億900万
(2023年12月)
     
(4)  対外債務  134億2,300万 - 133億6,000万  
(5)  対内債務  199億7,300万
(2023年11月)
- 161億4,000万 -
(6)  天然ガス輸出額  1億5,000万
(2024年1月)
- 1億9,200万 5億7,600万
(7)  鉱物資源全体の輸出額  1億9,300万
(2024年1月)
- 2億2,700万 -
(8)  燃料輸入額  1億7,600万
(2024年1月)
- 3億1,100万 7億
(9)  貿易収支  ▲1億7,100万
(2024年1月)
- ▲6,400万 ▲1億5,300万
(10)  金輸出額  3,800万
(2024年1月)
- 2億8,500万 7億8,000万
             
      ※累計:本年1月~当月(最終更新月)の累計  
  ※前年累計:前年1月~前年の当月の累計  

2 経済関連動向等

(1)リチウム開発の公募状況

 ボリビア政府がボリビアリチウム公社(YLB)を通じて、1月26日に開始したリチウムプロジェクトと直接抽出法技術開発にかかる第2回国際公募に際し、3月6日に公募を締切り、38社がプロポーザルを提出、そのうち26社が要件を満たし、パイロット・スケールのプラント設置を含む第2段階に進んだ。なお、第2段階に進んだ企業のほとんどは中国企業であり、日本企業の応募はなかった。
 

(2)燃料輸入コスト削減策

 ボリビア政府は、燃料輸入コストの削減のため、バイオディーゼルとエタノールの化石燃料への混合割合を25% まで拡大することを決定し、商業化を目指す最高法令5135を発布した。この新しい法令は、2018年に制定されたDS3678(燃料混合率12%)を破棄するものである。
 ボリビア自動車会議所(CAB)によると、ボリビアの自動車保有台数は約200万台で、従来型エンジンを搭載している(12%以上のエタノールを含む燃料に耐えられるように設計されていない)ため、車両の改修が必要である。
 また、3月26日にはYPFB社が建設した国内初のバイオディーゼル生産工場(生産量は日量1500バレル、約23万8000リットル)の落成式が行われた。アルセ大統領は、バイオ燃料の原料となる農産物を新たに生産する場合、政府は奨励金を支給すると発表した。具体的には、国家産業活性化開発信託基金(Firedin)の「0.5SIBoliviaクレジット」について言及している。
 

(3)2023年の牛肉輸出

 国家統計局(INE)のデータによると、ボリビアの牛肉輸出は2019年から2023年の間に455%増加した。現在、ボリビア産牛肉の市場はペルー、ロシア、中国の3つである。輸出額は年間1億3,000万米ドルを超え、今後はチリと日本市場への拡大も視野に入れている。対外貿易協会(IBCE)の対外貿易統計報告書によると、2023年の牛肉輸出は中国が第1位(牛肉輸出全体の98.44%、1億1,603万米ドル)を占めている。
 

(4)国営金会社の設立

 最高法令5134号により、政府は国営金生産販売会社(Epcoro)を設立した。同社の主な活動は鉱業生産チェーン全体を通しての金の生産と商業化であり、このために最大約1500万米ドルを出資すると発表。これを受けて地域金採掘協同組合連合会(FERRECO)のリーダーは、これまで金部門はボリビア中央銀行(BCB)に1グラムの金も売却していないことを確認しつつ、新しい国営会社の設立を緊急事態として早急に関係者での会合を開くと述べています。
 

(5)2023年のボリビア対内債務

 金融政策報告書によると、ボリビア中央銀行(BCB)と生産性産業革命基金(FINPRO)に対する公営企業の債務は、2023年12月までに合計437億7,100万ドルに達した。なお、そのうち85%は戦略的企業のBCBに対する負債に相当し、15%はその他の企業のFINPROに対する負債で、国際準備金から構成されている。政府は昨年10月を最後に内国債に関する統計情報の公表を中止しているが、政府が発表した最新の国内総生産GDP(467億ドル)を考慮すると、ボリビアの公的債務(対内・対外)はGDPの72%に達する。これらの公的企業の負債を含めると、この比率は85%に達する。
 

(6)ムーディーズによるボリビアの経済評価

 ムーディーズ・レーティングスは、今年のボリビア経済について複雑な見通しを立てており、主なリスクとしてドル不足の深刻化と炭化水素生産の減少、経済縮小、対外債務の債務不履行(デフォルト)の拡大など国際収支危機の可能性を警告しているが、インフラの問題はないと強調している。また、ムーディーズの見解では、政府が経済調整、国際準備高増加、財政赤字削減のための改革を行う意志がないと見ている。
 一方で、アルセ大統領は、国内経済が危機に瀕していることを否定し、これまで実施してきた施策のおかげで、ボリビアは前進していると述べている。
 

(7)BCBによる2024年の経済見通し

 BCBによると、ボリビアにおける議会での対外融資の不承認、炭化水素生産の落ち込み、社会的紛争などは、2024年の経済成長と国際準備高の安定化に影響を与えるだろうとの見解を示している。一方で、金の売買とドル建て債券の発行により、国際準備の水準が改善し、対外債権が承認されれば公共投資が促進されると述べている。2月末よりBCBが発行しているドル債は、3月26日までの一ヶ月で、2571万米ドルに達しており、政府は8月末までに少なくとも1億米ドルを調達することを目標としている。
 なお、法人による長期(2年および3年)投資は17,531,000米ドル(全体の79.6%)を占めており、その他による投資は4,503,000米ドル(20.4%)となっている。
 

(8)ボリビアのカカオ豆輸出

 2023年のカカオ豆輸出は363トン・150万米ドルに達し、2022年比で約3倍になった。主要な輸出先市場はアルゼンチン、スイス、イタリア、フランス、オランダ、アメリカ、日本などである。2023年のカカオ豆輸出は、2012年の367.5トン・140万米ドルとほぼ同量であり、ボリビアの最大の輸出年は、2010年の703.8トン・240万米ドルとなっている。
 

3 日本との関係

(1)ボリビアFOODEXへの参加

 3月5日から8日まで東京ビックサイトで開催された第49回国際食品・飲料展「FOODEX Japan 2024」にボリビア企業・機関6社が参加し、ボリビア産キヌア、コーヒー、蜂蜜、パイナップルやパーム・ハートなど多彩な商品を紹介し、さまざまな潜在的顧客との新たなビジネスチャンスを探った。
 イベント期間中に創出された成約額(見込み含む)は推定800万米ドルに達し、各国とのビジネス関係を強化し、持続可能な経済発展へ貢献する力と潜在力を証明した。
 また、FOODEX2024への参加の枠組みの中で、民間セクターと日本経済団体連合会(経団連)および日本貿易振興機構(JETRO)代表との戦略的会合も実施された。