2024年2月 ボリビア経済情勢
令和6年3月1日
1 経済指標など
当月 | 前月(最終更新値) | 累計 | 前年同月 (23年2月) | 前年累計 | ||
(1) | インフレ率 | 0.2% | 0.08% | 0.28% | -0.44% | -0.11% |
(2) | 都市部失業率 | ‐ | 4.2% (2023 年12月) |
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(3) | 外貨準備高 | ‐ | 17億900万 (2023年12月) |
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(4) | 対外債務 | ‐ | 135億8,800万 (2023年12月) |
- | 133億100万 | |
(5) | 対内債務 | ‐ | 199億7,300万 (2023年11月) |
- | 158億4,200万 | - |
(6) | 天然ガス輸出額 | ‐ | 1億6,400万 (2023年12月) |
- | 2億300万 | 20億4,700万 |
(7) | 鉱物資源全体の輸出額 | ‐ | 2億1,000万 (2023年12月) |
- | 1億8,600万 | - |
(8) | 燃料輸入学 | ‐ | 2億5,300万 (2023年12月) |
- | 1億9,500万 | 29億8,400万 |
(9) | 貿易収支 | ‐ | ▲1億7,500万 (2023年12月) |
- | ▲7,300万 | ▲8,900万 |
(10) | 金輸出額 | ‐ | 7,500万 (2023年12月) |
- | 2億2,300万 | 4億9,400万 |
※累計:本年1月~当月(最終更新月)の累計 | ||||||
※前年累計:前年1月~前年の当月の累計 | ||||||
2 経済関連動向等
(1)米ドル不足関連
ア 2月5日、金融システム監督庁(ASFI)は、国民が行う金融操作のための新しい手数料を設定した。2月5日から、利用者が米ドル建て口座を有しており、かつ送金金額が1,000米ドル未満の場合は無料とされた。1,000米ドル以上のドルを購入し、海外に送金する場合、銀行は適切と思われる手数料を請求することができる。イ 2月8日、製薬会社は、米ドル不足のために海外からの原材料・医薬品の仕入先への支払いができないことを報告した。
2月15日、政府とボリビア製薬産業会議所(CIFABOL)代表との合意を受けて、ウニオン銀行は製薬会社に米ドルを供給し、医薬品と主な生産資材の輸入を保証することが確認された。
ウ 2月19日、政府と民間企業家代表は、「経済・生産・ビジネス合意」に署名した。
右合意は一時的な米ドル不足を正常化することに加え、対話と協議のシナリオを開き、国民の利益のために、より大きな生産と収入を生み出す前向きな期待を生み出すことを目的とし、(1)手続きの合理化による輸出の自由化、(2)輸出外貨の受け渡しと同時に輸出税還付証明書の即時返還、(3)米ドル建てボリビア中央銀行債権の発行、(4)大口購入者に対するディーゼルオークション、(5)民間企業の自家消費用ディーゼル輸入の合理化、(6)バイオディーゼル工場への民間投資の促進、(7)農業セクター業績向上のための投資促進、(8)貨物輸送車両の最大許容重量および長さの規制緩和、(9)フレックス車及び電気自動車の購入にタイする税制優遇措置の設定、(10)海外送金及び海外送金手数料に対する規制の10項目からなる(往電第271号2参照)。
エ 2月21日、アルセ大統領は、サンタクルス商工サービス観光会議所(CAINCO)会頭らCAINCO幹部と大統領府において会談した。
オ 官民合意に基づき即座に施行された措置等(往電第271号5参照)
(ア)大豆副産物(ケーキ、全粒粉、原油、精製油)、米、ソルガム輸出の自由化
2月20日付けで、これまで輸出割当を設けていた大豆副産物(ケーキ、全粒粉、原油、精製油)、米、ソルガムの輸出を自由化した。国内市場への十分な供給を約束したうえで、余剰分100%の輸出を許可する証明書が同分野に携わる34社に手交された(1年間有効)
(イ)海外送金及び海外送金手数料に関する帯域の設定
2月20日付けで金融システム監督庁(ASFI)は金利・手数料規則を改正し、同月の各2週間以内に行われた海外送金・取引の額が1,000米ドルを超える場合の手数料を5%~10%の幅で設定した(1,000米ドル以下は手数料無料)。
(ウ)米ドル建てボリビア中央銀行(BCB)債券の発行
2月27日、ボリビア中央銀行(BCB)は、米ドル建て債券の発行を発表した。
(1)BCBは、個人及び法人を対象に、2月27日から米ドル建て債券を発行する。右販売は、BCBの公認ルート及びASOBAN加盟銀行を通じて全国で行われる。
(2)米ドル建てBCB債の特徴は、金融取引税(ITF)がかからないこと、元本及び金利の支払いが米ドル建てであること及び譲渡・償還ができないこと。
(3)米ドル建てBCB債は8月30日まで販売され、期間は3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、金利はそれぞれ4.5%、5.0%、6.0%、6.25%、6.5%である。
(2)中国との関係
ア 2月2日、アルセ大統領に信任状を提出した後、Wang Liang中国大使は、中国がボリビアの主要な商業パートナーの一つであることを確認し、リチウム開発と産業化のプロセスを支援する中国企業の存在を強調した。イ 2月6日、クシカンキ開発企画相は、Wang Liang駐ボリビア中国大使と、オルロ県における亜鉛製錬所建設のための両国政府間枠組み協定(Convenio Marco)に署名した。
(3)ベネズエラとの炭化水素プロジェクト関連協力
2月2日、カラカスを訪問したモリナ炭化水素・エネルギー相は、テレチャ・ベネズエラ石油人民権力相と会談し、ボリビア石油公社(YPFB)チャコ社、YPFBアンディーナ社、PDVSA社が共同で進める炭化水素プロジェクトのフォローアップを行った。両大臣は、炭化水素分野における情報と知識の交換を含む共同プロジェクトの進捗状況を確認した。(4)Fitch Ratings社による信用格付けの引き下げ
2月6日、米国の信用格付け機関であるFitch Ratings社は、ボリビアの信用格付けをB-からCCCに引き下げた。今回の引き下げは、使用可能な外貨準備高が非常に低い水準まで大幅に減少し、マクロ経済の安定性と債務返済能力に対するリスクが高まったことを反映している。(5)カントリー・リスク
2月8日に発表されたJPモルガンの新興国債券指数(EMBI)は、ボリビアは1,958ポイント(昨年12月は2,092ポイント)を記録し、21,416ポイントを記録したベネズエラに次いで、ラテンアメリカにおいて2番目に高い国となった。(6)2023年貿易統計
2月10日、国家統計局は、2023年12月までの貿易統計を発表し、2023年の輸出額は2022年より20%減の109億1,100万米ドル。輸入額は、2022年より3.2%減少し、114億9,560万米ドルであった。なお、貿易収支は2015~2019年にかけて年平均10億米ドルの赤字を記録したが、2020年にはほぼ均衡し、2021年には黒字に達した。2022年には黒字が減少し、2023年には3年ぶりに5億8,500万米ドルの赤字を記録した。
(7)ウェスタン・ユニオン銀行にかかる噂の否定
ソーシャル・ネットワーク上でウェスタン・ユニオン銀行がボリビア事業を停止しているとの情報が流れたことを受け、2月13日、政府は、ウェスタン・ユニオン銀行のボリビア事業は正常に機能していることを保証し、同行がボリビア事業を停止したという噂を否定した。金融システム監督庁(ASFI)は、コミュニケにて、「ウェスタン・ユニオン銀行の業務は、家族送金の送金・受取ともに正常に発展している。」とした。
経済財務省は、ソーシャルメディア上で、ボリビアにおけるウェスタン・ユニオン銀行のサービスは正常に運営されていることを確認し、ボリビアでウェスタン・ユニオンと契約しているCISエクスプレス社のコミュニケを共有すると同時に、憶測に陥らないように呼びかけた。