2023年12月 ボリビア経済情勢

令和6年1月1日

1 経済指標など

(1)インフレ率:0.63%。2023年1月~12月累計2.12%。
(2)都市部失業率:11~12月未更新(10月:3.48%)。
(3)外貨準備高:17億900万米ドル(11月:16億8,800万米ドル)。なお、5月~11月データが更新された。
(4)対外債務:11~12月未更新。2023年1月~10月累計134億2,300万米ドル。
(5)対内債務:11~12月未更新。2023年1月~10月累計199億7,300万米ドル。
(6)天然ガス輸出額:11~12月未更新(10月:1億6,600万米ドル)。2023年1月~10月累計17億3,000万米ドル。
(7)鉱物資源全体の輸出額:11~12月未更新(10月:2億700万米ドル)。前年同月2億4000万米ドル。
(8)燃料輸入額(ガソリン及びディーゼル):11~12月未更新(10月:2億5,700万米ドル)。前年同月2億7,700万米ドル。
(9)貿易収支:11~12月未更新(10月:4,600万米ドルの赤字)。2023年1月~10月累計1億7,800万米ドルの赤字。前年同月1億4,200万米ドルの赤字、前年1月~12月累計18億100万米ドルの黒字。
(10)金輸出額:11~12月未更新(10月:2億4,300万米ドル)。2023年1月~10月累計22億4,100万米ドル。
 
※2023年1月時点データ
 

2 経済関連動向等

(1) カントリーリスクの上昇

 12月1日、JPモルガンの新興国債券指数(EMBI) において、ボリビアは2012年以降で過去最高の2,092ポイントを記録し、ベネズエラに次いでラテンアメリカ二番目に高い国となった。

(2)外貨準備高の減少

 12月5日、ボリビア中央銀行(BCB)の外貨準備高報告書によると、2023年8月31日現在、BCBは外貨準備高として21億4,700万米ドルを保有しており、2022年12月末の37億9,600万米ドルに比べ43%、2023年2月の35億3,800万米ドルより13億9,100万ドル減少した。
 なお、外貨準備高の構成としては金が76%、外貨が20%、残りの4%は特別引出権(SDR)及びIMF準備金となっている。

(3)メルコスールへの正式加盟関連

ア 12月7日、アルセ大統領はメルコスール首脳会合へ出席し、その機会にボリビアのメルコスール加盟議定書がルーラ伯大統領により公布された(令和5年往電第1556号参照)。
イ 12月13日、ボリビア政府は、南米南部共同市場(メルコスール)加盟議定書の批准にかかる法案を国会に提出した。
 ソサ外相は、ボリビアがメルコスール加盟国と連携するためには、国内批准手続きが完了した後、関連する国内法の調整など正式加盟に必要な国内手続きを4年以内に完了させる必要があると説明した。

(4)米ドル不足関連

 12月14日、金融システム監督庁(ASFI)は民間の海外投資を制限する新たな規制を導入した。右に伴い、投資ファンド運用会社は5%、銀行(ウニオン銀行を除く)は8%しか海外に投資することができない。なおASFIは、ソブリン債への投資は海外投資としてカウントされないとした。
 アナリストらは本措置によって、割り当てを遵守するために外貨を本国送金しなければならなくなり、何年も前に行われた投資に影響を及ぼすと指摘した。

(5)リチウム開発関連

ア ロシア企業と直接抽出技術産業プラント建設の合意
 12月13日、ボリビアリチウム会社(YLB)は、ロシア企業Uranium One Groupと、ウユニ塩湖に年間14,000トンの炭酸リチウムを生産するリチウム直接抽出(EDL)技術を用いた準産業パイロットプラント(planta piloto semiindustrial)を建設する協定(Convenio)を締結した。
イ YLB炭酸リチウム産業プラントの稼働
 12月15日、アルセ大統領は、ポトシ県コルチャKに建設していたYLBの炭酸リチウム産業プラントの落成式を挙行した。同プラントは、蒸発プールから得られる炭酸リチウムを年間15,000トンの生産能力を有するが、最初の段階は生産量の最大30%、2025年に最大レベルに達するまで徐々に生産量を増やしていき、収益を1,000百万Bs(約143.68百万米ドル)超とすることが見込まれている。
 なお12月19日、YLB は韓国の民間企業から、同プラントで生産される炭酸リチウムの購入への最初の関心表明を正式に受領した。

(6)燃料輸入削減策

 12月15日、政府は国内市場における液体炭化水素の通常の供給を保護することを目的として、ガソリン及びディーゼル油の輸入に対する関税率を0%に定める最高政令5084号を承認した。
 なお政府はガソリンについて、2023年は約2億リットル、2024年は2億4400万リットル以上の輸入を削減すると見込んでおり、エタノールの使用とバイオディーゼルの生産により政府は2026年までに燃料輸入を最大60%節約できると見込んでいる。

(7)アルセ大統領による経済評価 

 12月14日、アルセ大統領は国内に経済危機があることを否定し、データに基づき2023年10月の時点で2.2%の経済成長が記録されたこと、失業率の削減が達成された(2023年11月時点で3.6%)ことを称賛するとともに、対外債務は持続可能であり、最大の誇りは国内の安定であると繰り返し述べた。

(8)2024年予算案

 12月21日、上院は2024年の一般予算案に修正を加えて承認し、下院に差し戻した。
 なお国会は年末年始の休会に入ったことから、年内の予算案の可決・承認は繰り越された。