2023年9月 ボリビア経済情勢
令和5年10月1日
1 経済指標など
(1)インフレ率:マイナス0.06%、2023年1月~9月累計1.49%。(2)都市部失業率:未更新(前月:3.76%)
(3)外貨準備高:5月~9月データ未更新(4月:31億5,800万米ドル)
(4)対外債務:8~9月未更新、2023年1月~7月累計135億8,700万米ドル
(5)対内債務:8~9月未更新、2023年1月~7月累計173億5,700万米ドル
(6)天然ガス輸出額:7~9月未更新(6月:1億7,100万米ドル)、2023年1月~6月累計10億7,100万米ドル。
(7)鉱物資源全体の輸出額:7~9月未更新。(6月:2億2,800万米ドル)前年同月2億5,300万米ドル。
(8)燃料輸入額(ガソリン及びディーゼル):7~9月未更新(6月:2億4,000万米ドル)、前年同月5億6,200万米ドル。
(9)貿易収支:7~9月未更新(6月:300万米ドルの黒字)、2023年1月~6月累計7,800万米ドルの赤字。前年同月2億1,400万米ドル赤字、前年1月~9月累計14億8,500万米ドルの黒字。
(10)金輸出額:7~9月未更新(6月:1億8,800万米ドル)、2023年1月~6月累計14億1,600万米ドル。
注:上記情報は2023年10月時点データ
2 経済関連報道等
(1)2024年の地方向け予算(9月3日)
政府は、県、市町村、大学向けの予算が2023年と比較して1.6%増加することを保証した。また、石油価格の下落とガス輸出量の減少により、炭化水素産出部局の予算が2024年に減少することも確認した。(2)水危機の影響(9月5日)
本年のエルニーニョ現象は、ボリビア国内のいくつかの地域にも深刻な打撃を与え始めており、人間の消費に必要な水の極端な配給制限や、農業・家畜生産への前例のない影響がすでに検討されている(3)ECLACによる成長見通し0.2ポイント改善(9月6日)
国連ラテンアメリカ経済委員会(ECLAC)は、ボリビア経済の今年の成長率見通しを2%(4月予測)から2.2%へと0.2ポイント改善した。(4)準備金の現金化とソブリン債の元利金支払い
本年5月から8月にかけて、ボリビア中央銀行(BCB)は17トン、10億5900万米ドルの価値に相当する金を国際金融市場で外貨に換えた。外貨準備高の強化のための金購入法の承認以降、BCBは10人の売り手から68キロの金を購入した。なお、右金の現金化により、2013年発行のソブリン債の元利金全額の返済が可能となった。
(5)液化石油ガス輸出の減少 (9月12日)
国家統計局(INE)によると、今年上半期の液化石油ガス(LPG)の輸出額は、2022年同期の4400万ドルから1500万ドルに減少した。数量ベースでは、64,747トンから39,255.8トンに減少した。この数字は収入が66%減少し、数量が39%減少したことを表している。ボリビアのLPG市場は、ブラジル、パラグアイ、ペルーである。(6)密輸の影響 (9月19日)
全国工業会議所(CNI)の調査によると、経済が年平均4%の成長率であるのに対し、密輸は7%から8%拡大している。近隣諸国の通貨切り下げは、密輸の継続と拡大に影響を与えている。最も影響を受けている製品は、アルコール飲料、非アルコール飲料、食品、医薬品、繊維製品、家具となっている。(7)リチウム開発
ア 9月21日、アルセ大統領は、ボリビアには十分なリチウムの埋蔵量があるため、「ボリビアに来たい企業」の参加を認める意向だが、その条件としてボリビアが生産チェーン全体に参加することが挙げた。また、リチウム開発には高度な技術が必要であり、ヨーロッパ企業がその技術を持っていることを認識している。一方、モリナ炭化水素・エネルギー相によると、インドとブラジルの企業がボリビアでのリチウム電池工場設立に興味を示している。同大臣は、2025年までに国のエネルギー・マトリックスを、リチウム電池貯蔵システムに支えられた再生可能エネルギーが中心となるようにすることが、国の目標のひとつであると述べた。
イ 9月27日、英国にて、モリナ炭化水素・エネルギー相は、ボリビアリチウム公社(YLB)とウォーリック大学が、最新のリチウムイオン電池におけるボリビア産リチウムの性能について共同研究を行い、プロトタイプを成功させたことを報告した。同大臣は、「この研究により、ボリビアで最新のリチウムイオン電池の開発が可能になる」と述べた。同省によると、政府はリチウムの所有権と主権を国家が保持するソブリン・モデルの条件の下で、外国人投資家を求めていることを明らかにした。
(8)モンテネグロ経済財務相によるボリビア経済モデルの称賛 (9月25日)
モンテネグロ経済財務相は、生産的社会共同体経済モデル(MESCP)は成功であり、これは2022年に443億1500万ドルの国内総生産(GDP)の最高の成長に反映されているほか、本年6月に3.7%の失業率、本年8月に1.6%の低いインフレ率等の指標にも示されているとした。同相は、ボリビアが天然資源の国有化に基づき所得の再分配、内需優先、輸入代替産業化に焦点を当てた経済モデルで成功を収めているとして、「いずれにせよ、破壊者とは、経済の再建を継続するための規制を承認しようとしない人々である。」旨述べた。
同相はMESCPの再開により経済は回復しつつあり、実質GDP成長率は2021年に6.1%、2022年に3.5%、今年第1四半期には2.3%に達したとして、「ボリビアは成長を続け、プラス成長率を達成し、既にパンデミック前のレベルに達し、それを上回っている。」と評し、2022年に国の名目GDPは443億1500万ドルに達し、411億9300万ドルに達した2019年などの前の年に比べて最高であること、また、2022年の一人当たりGDPは3,691米ドルを記録し、2019年の3,578米ドルを上回った。一方、2022年の徴税額は58,668百万Bsで、2016年の53,754百万Bsから増加したとして、「国民経済は再建されつつあり、物価の安定とともにある。」とした。
また、本年8月時点のインフレ率は1.6%に留まり、南米で最も低く世界でも最も低い水準にある。一方、失業率はパンデミック当時の11%から本年6月には3.7%まで低下し、ボリビア経済が経験したこの何十年で最低の数字となったとして、「アルセ大統領が指摘するように、これらは経済が右肩上がりであるという指標ではない。これは客観的な事実であり、これを無視しようとする人は、単に経済の仕組みを理解していないか、単に国政を疲弊させ、絶望の雰囲気を作り出そうと考えているだけである。」と疑問を呈した。
(9)世界イノベーション指数ランキングにボリビアがランクイン(9月27日)
世界知的所有権機関(WIPO)は、132カ国の2023年イノベーション指数を発表した。ボリビアは、パラグアイ(98位)やエクアドル(104位)といった南米諸国を抑え、97位にランクインした。(10)今年の公共部門賃上げ (9月28日)
最高法令第5029号により、公営企業の労働者に対して最大3%の賃上げが決定された。今年5月1日発表の国の労働者の賃上げを指示する政令には公営企業の公務員は含まれておらず、本政令は本年1月1日に遡及して昇給を適用するよう規定しており、これには短期・長期の社会保障管理機関への拠出金も含まれる。当地エコノミストは、この決定が財政赤字に影響するとして疑問を呈している。
(11)中国へのチアシード輸出 (9月1日)
ブランコ外務省通商・統合担当次官によると、ボリビアと中国の間でチアシードの輸出交渉がパンデミック前から始まっていたが、現在ボリビアに到着した中国代表団による植物検疫条件やその他の生産面の検証を経て、両国は輸出議定書を作成することで合意した