2023年7月 ボリビア経済情勢

令和5年8月1日

1 経済指標など

(1)インフレ率:プラス0.37%(前月:プラス0.22%)、2023年1月~7月累計1.16%。
(2)都市部失業率:3.7%(前月:3.7%)。
(3)外貨準備高:5月~7月データ未更新(4月:31億5,800万米ドル)。
(4)対外債務:2023年1月~7月累計135億8,700万米ドル(前月:133億4,000万米ドル)で、前年同月比プラス6.4%。
(5)対内債務:2023年1月~7月累計173億5,700万米ドル(前月:167億100万米ドル)で、前年同月比プラス3.9%。
(6)天然ガス輸出額:7月データ未更新(前月:1億7,100万米ドル)、2023年1月~6月累計10億7,100万米ドル。
(7)鉱物資源全体の輸出額:7月データ未更新(前月:2億2,800万米ドル)、前年同月2億3,600万米ドル。
(8)燃料輸入額(ガソリン及びディーゼル):7月データ未更新(前月:2億4,000万米ドル)で、前年同月4億6,300万米ドル。
(9)貿易収支:7月データ未更新(前月:300万米ドルの黒字)、2023年1月~6月累計7,800万米ドルの赤字。前年同月8,600万米ドルの黒字、前年1月~7月累計18億2,000万米ドルの黒字。
(10)金輸出額:7月データ未更新(前月:1億8,800万米ドル)、2023年1月~6月累計14億1,600万米ドル。
 
注:上記情報は2023年7月時点データ
 
 

2 経済関連報道等

 

(1)海外からの借款法案の公布 (7月11日)

 アルセ大統領は、米州開発銀行(IDB)から5億米ドル、アンデス開発公社(CAF)から4,500万米ドルの予算支援と橋の建設に宛てるための借款にかかる法律を公布した。
 

(2)対外債務の増大

 ボリビア中央銀行によると、今年5月31日現在の対外債務残高は133億2,700万米ドルに達しているが、ボリビアは引き続き持続可能性と借入能力を有しており、政府はさらなる借り入れの承認が可能と主張している。
 

(3)米ドル不足に起因する海外送金手数料等の上昇

ア 米ドルの海外送金手数料は、かつては3%、あるいは一取引毎に6米ドルの固定であったが、7月、銀行によるが、7%~10%、18.5米ドルとなっている。
 7月20日、多数の国内銀行が、海外のATMから米ドル現金を引き出す際の手数料を、従来の2倍とすることを決定し、金融システム機構(ASFI)は、ボリビアの銀行が海外におけるカード利用や海外送金に課す手数料を6%に引き上げたことを認めた。
 
イ 7月12日、モンテネグロ経済財務相は、政府は毎月1億米ドルを民間銀行に供給したと発表したが、実際には外貨の量はまだ不足しており、銀行におけるドルへのアクセスは制限されている。
 
ウ 7月25日、モンテネグロ経済財務相は、ウニオン銀行にて既に人民元での業務を開始していること、また、ボリビア政府が中国の銀行を設立するための措置を講じていることを明らかにした。
エ 7月28日、JPモルガンのEMBI指標によると、ボリビアのカントリーリスクは7月25日に917ポイントで、4月の約2,000ポイントからは低下した。なお、2022年末の563ポイントだった。このようにリスク評価が徐々に改善した理由は、4ヶ月以上非公開だった外貨準備高(RIN)に関するデータが発表されたこと及び金購入法が可決・公布されたことで、米ドルの入手可能性に関する不確実性が低下したためである。
 

(4)リチウム開発関連

ア 7月2日、モリナ炭化水素・エネルギー相は、「締結済みの協定に基づき、中国のコンソーシアムCATL BRUNP & CMOC(CBC)は、リチウム直接抽出(EDL)技術を用いた2つのリチウム産業コンビナートの建設にかかる調査を実施中であるが、その進捗が現在85%となっているとした。
イ 7月6日、モリナ炭化水素エネルギー相は、ウラニウム・ワン・グループが開発することとなった、ポトシ県のパストス・グランデス塩湖の炭酸リチウム産業プラントにおいては、地熱エネルギーが活用されると述べた。
 

(5)電気通信プロジェクト (7月18日)

 中国の衛星サービス・プロバイダーであるピエサット(Piesat)社は、電気通信・運輸規制庁(ATT)から2,200万米ドルを投じてデジタル監視システムの開発を受注した。この電波スペクトラム・システムは、正規化されていない周波数を検出するために使用され、5G技術などの電気通信プロジェクトを推進するための一歩となる。
 
 

(6)ASFI長官の交代  (7月21日)

 政府は金融システム規制庁(ASFI)のレイナルド・ユジャ長官を解任し、代わりに年金担当副大臣であったイベット・エスピノサ氏を任命した。この人事異動の背景には、バンコ・ファシルの倒産、米ドル不足、銀行による外国為替取引手数料の引き上げなどがあるとされる。