2023年6月 ボリビア経済情勢
令和5年7月1日
1 経済指標など
(1)インフレ率:6月データ未更新(5月プラス0.57%、2023年1月~5月累計0.567%)。(2)都市部失業率:5月からデータ未更新(4月:4.19%)。
(3)外貨準備高:2月8日からデータ未更新(2月8日35億3,800万米ドル)。
(4)対外債務:6月データ未更新(2023年1月~5月累計133億2,700万米ドル)。
(5)対内債務:5月からデータ未更新(4月163億5800万米ドル)。
(6)天然ガス輸出額:6月データ未更新(5月1億5,700万米ドル、2023年1月~5月累計8億9,900万米ドル)。
(7)鉱物資源全体の輸出額:6月データ未更新(5月2億5,000万米ドル)。
(8)燃料輸入額(ガソリン及びディーゼル):6月データ未更新(5月2億7,200万米ドル)。
(9)貿易収支:6月データ未更新(5月4,100万米ドルの赤字)。
(10)金輸出額:6月データ未更新(5月1億9,000万米ドル)。
注:上記情報は2023年7月時点データ
2 経済関連報道等
(1)ボリビア・アルゼンチン間送電線開通式 (6月1日)
アルセ大統領及びフェルナンデス・アルゼンチン大統領は、タリハ県ヤクイバ市ヤグアクアにおいて、ボリビア・アルゼンチン間送電線Juana Azurduy de Padillaの開通式を行った。同送電線はヤグアグア(ボリビア)及びタルタガル(アルゼンチン)に建設された変電所を繋ぐもので、長さは約120キロメートルであり、132キロボルト(Kv)、120メガワット(MW)の送電能力を有する。(2)世界銀行による本年の経済成長予測の引き下げ
世界銀行は最新の報告書にて、本年のボリビアの国内総生産(GDP)成長率予測を2.7%から2.5%に引き下げた。今回の世界銀行による報告書は今年3回目の予測で本年1月、3.1%と予測していたが、4月には2.7%に引き下げ、今回の6月には2.5%に再度下方修正した。なお、右3つの成長予測は、ボリビア政府による4.86%という予想と異なる。ただしボリビアは、ペルー、ウルグアイ、コロンビア、ブラジルを上回り、ラテンアメリカ地域において上位3つの経済成長率の国として位置付けられている。
(3)貿易収支(6月5日)
国家統計局(INE)は、本年4月には7,100万米ドルの貿易黒字を記録したとともに、本年3月の輸出は9億7,700万米ドルに達し、4月は9億8,800万米ドルに増加したと発表した。(4)経済財務省分析 (6月7日)
経済財務省は、レストラン、ホテル、航空輸送における売上及び/またはサービスの金額が昨年より増加しており、本年4月現在、レストランの売上高は2億300万米ドル、ホテルの売上高は3,400万米ドル、航空輸送の売上高は1億4,100万米ドルに達したとして、ボリビア経済における内需のダイナミズムが維持されていることを示しているとした。(5)ムーディーズによる経済アウトルック評価 (6月30日)
ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、ボリビアの経済アウトルックを「検討中格付け」から「ネガティブ」にするとともに、ボリビアの自国通貨建ておよび外貨建ての長期発行体格付けをCaa1に据え置いた。(6) 米ドル海外送金手数料等の上昇
6月、米ドルの海外送金手数料は、かつては3%、あるいは一取引毎に6米ドルの固定であったが、現在は銀行によるが7%~10%、18.5米ドルとなっている。(7) ボリビア中央銀行(BCB)による市中への米ドル供給等にかかる発表 (6月6日)
BCBは、一連の金融政策措置の実施と両替所への払い戻し及び一般市民への直接販売により、米ドルの供給が定期的に行われている旨発表した。行政措置としては、(1)米ドル建ての法定準備金規制の変更。この結果、各銀行は約2億5,400万米ドルのドル建て資金を処分することができた。(2)ウニオン銀行(Banco Union)を通じて両替商に1,000万米ドルのドルを供給。(3)ボリビア民間銀行協会(ASOBAN)と協調して、今年2月以降、銀行に2億5,200万米ドルを供給。(4)3月6日以降、ウニオン銀行を通じて個人への直接の米ドル販売をラパス、コチャバンバ、サンタクルス市において実施し、現在までに1億3,400万米ドルを供給した。BCBは、金融システムと国民経済に合計約6億5,000万米ドルを注入した。
(8) リチウム開発関連:中国及びロシア企業との協定締結 (6月29日)
アルセ大統領立ち会いの下、ボリビアリチウム公社(YLB)はロシアのウラニウム・ワン・グループ(Uranium One Group)及び中国の中信国安(CITIC GUOAN)社との間で、それぞれポトシ県のパストス・グランデス塩湖及びウユニ塩湖における炭酸リチウム生産にかかるプラントを設置するための協定(convenio)を締結した。同協定によれば、両社合計14億米ドルの投資により、両プラントにおいて合計年間50,000トン以上の炭酸リチウムが生産される計画である。両社は特許取得済みのリチウム直接抽出(EDL)技術によるセミ産業化・産業化プロセスに加え、産業プラントの導入と純度99.5%の電池グレードの炭酸リチウムの生産のために必要な活動を実施する。
同協定はビジネス主権モデル(modelo de negociosoberano)の枠組みで締結されたもので、プラントの建設、生産、商業化、リチウムと蒸発資源の生産チェーン全体において、YLBを通じてボリビア国家の絶対的なコントロールが保証されている。