2022年12月 ボリビア経済情勢

令和5年1月4日

1 経済指標など

(1)インフレ率:0.12%となり、1月から12月の累計は3.12%。
(2)都市部失業率:4.15%で、11月から変動なし。
(3)外貨準備高は:37億9,600万米ドル(前月:38億800万米ドル)で、前年同月比マイナス20%。
(4)対外債務:10月からデータ未更新(131億1,200万米ドル)。
(5)対内債務:156億6,500万米ドル(前月:153億7,600万米ドル)で、前年同月比プラス15%。
(6)天然ガス輸出額:2億2,300万米ドル(前月:2億1,600万米ドル)で、前年同月比プラス0.5%。
(7)鉱物資源全体の輸出額:2億3,500万米ドル(前月:1億8,200万米ドル)で、前年同月比プラス23%。
(8)燃料輸入額(ガソリン及びディーゼル):3億6,500万米ドル(前月:5億1,600万米ドル)で、前年同月比マイナス19%。
(9)貿易収支:12月時点で5億1,000万米ドルの黒字(前月:7億5,700万米ドルの黒字)、前年同月:13億8,800万米ドルの黒字)。
(10)金輸出額:2億2,500万米ドル(前月:2億5,000万米ドル)で、前年同月比マイナス9%。
 

2 経済関連報道等

(1)2023年度国家予算

 12月17日、政府は2023年予算にかかる法律第1493号を公布した。
ア 総額
 (ア)総計額:3,171億2,900万Bs(約462億米ドル(前年比+4.3%))
 (イ)純計額:2,439億5,000万Bs(約355億米ドル(前年比+3.8%))
イ マクロ経済指標
 (ア)GDP成長率:4.86%
 (イ)インフレ率:3.57%
 (ウ)為替相場:1ボリビアーノ=6.86(±1.0)米ドル
 (エ)財政赤字:対GDP比-7.49%(前年-8.5%)
ウ 主な歳入内訳など
 (ア)対外債務借入(Financiamiento Externo)等:283億Bs(約41億米ドル(前年比-22.7%))(20億米ドルのソブリン債発行を予定)
 (イ)国内債務借入(Otras Fuentes Internas)等:655億Bs(約95億米ドル(前年比+11.3%))
 (ウ)炭化水素税収総額:約78億米ドル(前年比+6.1%)
 (エ)公営企業歳入見込:約89億米ドル
エ 公共投資
 2023年度国家予算に計上された公共投資額は約40億米ドルで、純計額の約11%を占める(前年度からマイナス10億米ドル)。公共投資の予算内訳は、42%が生産部門、24%がインフラ、26%が福祉・社会保障を占める。

(2)補助金支出にかかる政府の見解

 12月4日、ママニ経済財政省財政・予算担当次官は「今年2月に始まったロシア・ウクライナ戦争により、世界規模で燃料コストが上昇したため、2022年の炭化水素にかかる補助金が二倍になった。」旨述べ、2022年予算には約7億米ドルの補助金を計上していたが、実際は14億米ドル以上になったとした。
(当館注:ボリビアは天然ガスを産出するが、ディーゼル及びガソリンは輸入に頼っている。また右燃料や食糧品を国内供給する際には、政府が補助金を支出することで市場価格をコントロールしている。なお、燃料の輸入額は、2020年が9億米ドル、2021年が23億米ドルであり、2022年は10月時点で既に33億米ドルとなっている。)
 なお、2023年は総額約11億7,800万米ドルの補助金支出を見込んでおり、内訳は次のとおり。
ア 炭化水素(ディーゼル、ガソリン等):76億4200万米ボリビアーノス(11億1,400万米ドル)
イ 食糧品(トウモロコシ、小麦、米):4億3,720万ボリビアーノス(6,400万米ドル)

(3)信用格付け機関S&P社による評価引き下げ

 12月6日、米国の信用格付け機関であるStandard and Poor's(S&P)社は、ボリビアの長期ソブリン債の格付けをB+からBへと引き下げた。
 なお、他の信用格付け機関による格付けは次のとおり。
・Fitch Ratings社:B(Stable)
・Moody's社:B2(Negative)

(4)水銀使用取り締まりにかかる政府の見解

 12月8日、リックテル大統領報道官は、金採掘における水銀使用削減に向け、政府は水俣条約を遵守するのかという質問に対し、「この問題は、ビジャビセンシオ鉱業冶金大臣の手に委ねられており、同大臣が解決策を見つける責任を負う。」旨述べた。他方、ボリビア政府による国家行動計画の作成にかかる進捗状況については言及しなかった。 

(5)2022年のGDP成長率見込み

 12月30日、ボリビア中央銀行(BCB)は、2022年の経済成長率が4%程度になる旨報告するとともに、インフレ圧力の高まる国際情勢の中で、ボリビアが3.0%の低インフレ率を記録した点や金融システムの安定性を強調した。さらに、貿易収支の黒字化や国際送金の増加及び外貨準備高の安定(12月20日時点で40億米ドル)は、政府の主導する「生産的コミュニティ社会経済モデル(MESCP)」の成果であると指摘した。

(6)対米ドル固定為替相場制維持にかかる発言等 

 12月21日、モンテネグロ経済財政大臣は、ボリビアの為替レートを変更する理由がない旨述べた上で、対米ドル固定為替相場制を維持する旨強調した。
 12月30日、経済財政省は、為替レートが安定している旨発表し、SNS上で流布されている通貨切り下げを巡る噂はフェイクニュースであると否定した。
 12月31日、ボリビア中央銀行は、SNS上でフェイクニュースが流布されていることを指摘した上で、為替レートの安定と固定為替相場制の維持を強調した。

(7)メルコスールへの加入にかかる議論

 12月5日、マイタ外務大臣は、第61回南米南部共同市場(メルコス-ル)理事会(CMC)通常会合に出席し、ボリビアの加盟への意思を改めて表明した。
 なお、ボリビアの正式加盟については、2015年にブラジル以外のすべての加盟国による承認を得ており、ブラジル国会での承認を残すのみとなっている。