2022年10月 ボリビア経済情勢

令和4年11月1日

1 経済指標など

(1)インフレ率:0.75%となり、本年1月~10月の累計は2.52%。
(2)都市部失業率:4.3%(前月4.08%)で、前年同月比マイナス33%。
(3)外貨準備高は:36億8,700万米ドル(前月:38億4,400万米ドル)で、前年同月比マイナス24%。
(4)対外債務:131億1,200万米ドル(前月:131億2,100万米ドル)で、前年同月比プラス4.2%。
(5)対内債務:147億3,600万米ドル(前月:146億7,200万米ドル)で、前年同月比プラス20%。
(6)天然ガス輸出額:2億2,700万米ドル(前月:2億6,800万米ドル)で、前年同月比プラス13%。
(7)鉱物資源全体の輸出額:2億400万米ドル(前月:2億5,300万米ドル)で、前年同月比マイナス6%。
(8)燃料輸入額(ガソリン及びディーゼル):4億5,600万米ドル(前月:5億8,300万米ドル)で、前年同月比プラス66%。
(9)貿易収支は:10月時点で10億760万米ドルの黒字(前月:13億2,500万米ドルの黒字)、前年同月:14億6,100万米ドルの黒字)。
(10)金輸出額は、2億3,800万米ドル(前月:2億3,900万米ドル)で、前年同月比マイナス12%。
 

2 経済関連報道等

(1)2023年の経済成長率予測

 ラテンアメリカ経済委員会(ECLAC)は、2023年の経済成長率をボリビアは3%、ラテンアメリカ・カリブ地域は1.4%と見込んでいる。

(2)ムトゥン製鉄工場建設計画の進捗

 ムトゥン製鉄社(ESM)は、製鉄所における専門家養成に向け、33名の研修生を募集する見込み。研修は、サンタクルスと中国で一年間実施される予定。アルバラード(Alvarado)ESM社執行役員は「座学はボリビアの工場、実学は中国の製鉄所で行われる。」旨述べた。
 同製鉄所の建設は、2022年10月時点で約60%に達しており、2023年に完工、2024年に生産を開始する見込み。

(3)エネルギー政策 

 モリナ炭化水素・エネルギー大臣は「ボリビアは、国家エネルギー移行戦略の一環として、天然ガスによる発電を(それまでの約75%から)全発電量の約50%にまで削減し、ガス資源を水力、風力、太陽光、バイオマスなどの再生可能資源に置き換えた。」旨述べ、エネルギー・マトリックス改革に向けた政策を実施していると強調した。
 同大臣は「我々は大規模な投資を行い、国として現在までに1,161MWのクリーンで環境に優しいエネルギーの設備容量を有することができた。我々の目標は、この目標を達成し続けることである。そのため、2025年までに、ボリビアの電力の全国相互接続システム(SIN)に、さらに約550MWのクリーンエネルギーを追加する予定である。これには、新たな風力、太陽光、水力発電プロジェクト及び今回初めて地熱が組み込まれる。」旨述べた。
(当館注:2022年9月時点でボリビアの総発電容量は3,822メガワット(MW)で、そのうち再生可能エネルギーによる発電容量は1,161MWとなっている。ちなみに、2022年に記録された国内総電力需要の最大値は1,601MWであった。)

(4)第11回米州ボリバル同盟(ALBA-TCP)経済補完理事会会合の開催

 10月10日、第11回米州ボリバル同盟(ALBA-TCP)経済補完理事会会合はスクレ市において開催され、ボリビアからモンテネグロ経済財政大臣、ゴンサレス農村開発・土地大臣及びリョレンティ(Sacha Llorenti)ALBA-TCP事務局長らが出席した。

(5)水俣条約関連

 10月17日、オレリャーナ国連特別報告者は、ボリビア往訪に際し、水銀使用の現状にかかるセミナーを開催するとともに、ボリビアの水俣条約非遵守の現状について、「水俣条約は、国際法として制裁を加えるためのものではなく、各国が協力することで共通の問題に取り組むことを可能にするものである。現時点で、水俣条約事務局が入手できる情報では、水銀使用削減にかかるボリビア政府による行動計画は存在しない。条約で定められた期限を過ぎており、遅れが生じている。」旨述べ、ボリビア政府の透明性や誠意の欠如に疑問を呈した。また、ボリビアにおける金採掘の現状については、年間2,000トンの水銀が排出されていることを指摘し、世界最大の水銀排出地域であると批判した。

(6)韓国大使インタビュー(10月23日付けEl Deber紙)

 キム(Kim Ki Hong)駐ボリビア韓国大使は、ボリビア・韓国関係に関し、貿易面(鉱物資源、自動車、家電製品)の重要性を強調するとともに、パンデミック前は年間約15000人の韓国人観光客がボリビアを訪れていた点に触れ、観光分野の発展性について言及した。また、韓国国際協力団(KOICA)の活動に関しては、エル・アルトとオルロにおける韓国モデルを採用した病院建設、チュキサカにおける灌漑プロジェクトの進捗について述べ、今後はダム建設やキヌアの研究センター建設等が予定されていると述べた。