2022年8月 ボリビア経済情勢

令和4年9月1日

1 経済指標など

(1)インフレ率:0.04%となり、1月から8月の平均は1.62%。
(2)都市部失業率:4.12%(前月4.61%)で、前年同月比マイナス37%。
(3)外貨準備高:38億700万米ドル(前月:43億100万米ドル)で、前年同月比マイナス25%。
(4)対外債務:126億6,400万米ドル(6月時点)で、更新情報無し。
(5)対内債務:145億7,700万米ドル(前月:145億1,200万米ドル)で、前年同月比プラス27.7%。
(6)天然ガス輸出額:2億8,800万米ドル(前月:3億1,900万米ドル)で、前年同月比マイナス25%。
(7)鉱物資源全体の輸出額:2億3,900万米ドル(前月:2億3,500万米ドル)で、前年同月比プラス3%。
(8)燃料輸入額(ガソリン及びディーゼル):5億400万米ドル(前月:4億9,100万米ドル)で、前年同月比プラス306%。
(9)貿易収支:8月時点で11億5,700万米ドルの黒字(前月:13億3,400万米ドルの黒字、前年同月:12億8,800万米ドルの黒字)。
(10)金輸出額:2億2,900万米ドル(前月:1億9,400万米ドル)で、前年同月と同額。
 

2 経済関連報道等

(1)ボリビア産電気自動車の輸出(8月8日)

 ボリビア(コチャバンバ)のクオンタム(Quantam)社とメキシコのポテンシア・インダストリアル(Potencia Industrial)社は、2022年11月からクオンタム社が製造する電気自動車をメキシコで販売することで合意した。

(2)海外からの送金額(8月12日)

 2022年上半期、ボリビア人労働者による海外からの送金(remesa)の累計は、7億2,400万米ドルに達し、前年同月比プラス5.9%となった。送金元は、国別でスペインが30.8%、チリが23.3%、米国が19.9%、ブラジルが5.5%、アルゼンチンが5.3%を占める。

(3)発電容量と亜向け電力輸出(8月19日、22日)

 モリナ炭化水素大臣は、ボリビアは3,300メガワットの発電容量を有しており、2030年までのエネルギー供給を保証するものである旨述べた。また同大臣は、現時点では、火力による発電が主であるが、代替可能エネルギーのプロジェクトに注力している旨強調した。
 他方、同大臣は22日、アルゼンチン市場向けの電力輸出(最大120メガワット)にかかる送電線建設が最終段階に入っている旨述べた。

(4)リチウム関連製品の輸出状況(8月22日)

 ボリビアリチウム公社(YLB)は、2022年上半期に約3,500万米ドル相当の炭酸リチウムと塩化カリウムを輸出した。他方、同期間中、チリは36億2,000万米ドル、アルゼンチンは、2億4,700万米ドルのリチウム製品を輸出している。

(5)スイスグレンコア社によるシンチワイラ鉱山の売却(8月22日)

 カナダのサンタクルス・シルバー・マイニング(Santa Cruz Silver Mining)社は、スイスのグレンコア(Glencore)社からシンチワイラ鉱山(Minera Sinchi Wayra)社を1億1,000米ドルで買収した。買収した資産は、5つの鉱山の他に、探鉱プロジェクト、3つのプラント、販売会社及び発電所を含む。
 同社CEOは、「ボリビアには計り知れない潜在性がある。」旨述べた一方で、「外国企業による探鉱及び生産を促進する法的な枠組が必要である。」と述べ、ボリビアの鉱業部門に対して警鐘を鳴らした。

(6)2022年上半期の輸出状況(8月31日)

 国立統計局(INE)によれば、2022年上半期(1月から7月)までの輸出総額は82億7,500万米ドルに達し、過去30年間では最高額となった。部門別成長率ではそれぞれ、農業が113%、炭化水素が37%、製造業が39%、鉱業が19%を記録した。輸入は前年度比でプラス41%増(69億8,800万米ドル)となり、輸入品目の中で最も増加したのは燃料(147%)であった。

(7)サンタクルス経済(8月31日)

 ボリビア貿易研究所(IBCE)によれば、2022年上半期、サンタクルス県はボリビアからの総輸出量のうち52%(輸出額の32%)を占めている。なお、農業部門では、輸出額の87%をサンタクルス県が占める。

(8)中国企業による贈収賄事件(8月26日)

 8月26日、アルセ(Hector Arce)下院議員は、当国ボリビア道路公社(ABC)が中国企業であるChina harbor Engineering Company(CHEC)社から賄賂を受領していた旨告発した。
 CHEC社は、当該道路建設案件を本年1月7日に約4億5,680万ボリビアーノス(約6,500万米ドル)にて落札しており、5月19日には当該道路開通式も実施(アルセ大統領他も参列)されていた。
 アルセ下院議員の告発によれば、ママニ(Freddy Mamani)ABC事務局長が、ニナABC総裁の要求する「建設額の4%を現金で支払うこと」を定めるためにCHEC社と面会し、3月4日、CHEC社は、ABCに対して4%の賄賂(1,800万ボリビアーノス)のうち900万米ドルを支払った。また、同下院議員は、その他の不正として、入札前日のABCとCHEC社の面会、不正な契約締結及び入札にかかるプロポーザルの不正な改変を指摘した。
 これにより、9月1日、検察及び警察らが、ABC事務所へ家宅捜索に入るとともに、CHEC社のチェンユアン代表が逮捕された。