2022年6月 ボリビア経済情勢

令和4年7月1日

 1 経済指標など

(1)インフレ率:0.39%となり、1月から6月平均は1.18%。
(2)都市部失業率:4.28%(前月4.2%)で、前年同月比マイナス44%。
(3)外貨準備高:45億500万米ドル(前月:45億7,800万米ドル)で、前年同月比マイナス2.5%。
(4)対外債務:126億6,400万米ドル(前月:126億7,400万米ドル)で、前年同月比プラス1.1%。
(5)対内債務:144億4,700万米ドル(前月:144億4,100万米ドル)で、前年同月比プラス33%。
(6)天然ガス輸出額:2億5,500万米ドル(前月:2億5,300万米ドル)で、前年同月比プラス33%。
(7)鉱物資源全体の輸出額:2億8,700万米ドル(前月:3億1,000万米ドル)で、前年同月比プラス40%。
(8)燃料輸入額(ガソリン及びディーゼル):4億6,900万米ドル(前月:3億100万米ドル)で、前年同月比プラス193%。
(9)貿易収支:6月時点で12億8,600万米ドルの黒字(前月:11億4,400万米ドルの黒字、前年同月:8億5,300万米ドルの黒字)。
(10)金輸出額:2億7,000万米ドル(前月:2億3,900万米ドル)で、前年同月比プラス33%。
 

2 経済関連報道等

(1)違法金採掘取り締まり等にかかる合意(6月5日)

 アルセ大統領は、金鉱業共同組合(FERRECO)と会合を設け、ラパス県北部における違法な金採掘活動を取り締まり等にかかる合意文書に署名した。同文書において、外貨準備の金を増強するための金管理法整備、金鉱業セクターの社会保険整備、税制改革及び環境破壊に繋がる違法採掘者の取り締まりの4点について合意した。

(2)FENCOMINによる金セクターへの批判(6月6日)

 全国鉱業協同組合総連(FENCOMIN)は、政府とFERRECOが署名した合意文書に関し、右合意を不当であると非難した。ラモス(Octavio Ramos)FENCOMIN総裁は、右合意に際しては、FENCOMINや金セクター(県及びコミュニティ)との事前協議が行われていない旨指摘し、全国の金鉱業に関わるテーマを一部の協同組合だけで決定することはできないと述べた。
 鉱業冶金省によれば、金生産の94%は協同組合によるものであり、そのうちラパス県が76%、ベニ県が21%、パンド県、コチャバンバ県及びポトシ県が1%を占めている。2021年の輸出量は45.7トンで、26億2,600万米ドルに相当する。

(3)開発企画大臣の交代(6月9日)

 6月9日、アルセ大統領は、メンドーサ(Gabriela Mendoza)に代わり、クシカンキ(Sergio Cusicanqui)を新たに開発企画大臣として任命した。同大臣は、経済学及び公的信用・債務を主な専門としている。2008年から経済財政省に勤務し、アナリスト、基金部門、公的債務部門、公的信用部門を歴任。2011年から2015年には公的信用部長、2015年から2019年にはアルセ経済財政相(当時)の下で国庫・公的信用次官(Viceministro de Tesoro y Credito Publico)を務めた。2020年11月からはモンテネグロ経済財政相の下で国庫・公的信用次官を務めていた。

(4)対外債務額の変動と内訳等(6月11日)

 ボリビア中央銀行の発表によれば、ボリビアの対外債務は、2021年の一年間で119億100万米ドルから126億9,700万米ドルまで2020年に比べ7億9,670万米ドル増加した。内訳は次のとおり。
・国際機関:86億9,960万米ドル
・二国間:19億400万米ドル
・ソブリン債:20億米ドル

(5)2025年経済へ向けた長期的展望(6月10日、18日)

 モンテネグロ経済財政大臣は、当地La Razon紙によるインタビューに応じ、「2025年に向けては、経済社会開発計画(PDES)に組み込まれたプロジェクトが生産構造の転換を支えるだろう。電力、炭化水素、鉱業、環境等の戦略的部門を成長させ、経済的余剰を最大化させるべく新たなセクターの模索にも尽力する。こうした枠組みに基づき、PDESでは2025年までの平均GDP成長率を5%と見込んでいる。」旨述べた。今後の重点分野については、「食料、農産品、アンモニア、尿素、衣類、紙などの輸出に加え、将来的にはリチウムやムトゥン製鉄工場にも期待がかかっている。さらにボリビアは、隣国への輸出に向け、国内需要以上の余剰電力を生産している。」旨述べた。

(6)ボリビア・パラグアイ関係

 6月14日、アルセ大統領とアブド・ベニテス(Abdo Benitez)パラグアイ大統領は、ビジャモンテス市において開催されたチャコ戦争停戦記念式典に参加した。両首脳は、両国間の貿易を促進するために、物流インフラへの投資と協力を強化する意志を再確認し、両大洋間統合鉄道(Corredor Ferroviario Bioceanico de Integracion(CFBI))計画やパラグアイ・パラナ水道の重要性について合意した。また、両首脳は、現在建設中の道路、鉄道、河川といった複合的な輸送システムとインフラ工事を推進し、モノと人の移動を活発化させることを約した。

(7)CAFによる4億米ドルの融資

 ラテンアメリカ開発銀行(CAF)はボリビアへの財政支援として4億米ドルの融資を承認した。「地方財政の透明性確保と環境・気候へのアクション(Hacia la Accion ambiental y Climatica y Transparencia de las Finanzas Publicas)」と題した財政支援プログラムにおいて、地方政府による公共投資の持続性、財政運営能力強化、財政運営の透明性確保のために活用される見込み。

(8)両大洋間横断鉄道建設計画

 6月27日、両大洋間横断鉄道(Corredor Ferroviario Bioceanico de Integracion (CFBI))の建設計画にかかる作業グループ会合(GOB)がラパスで開催され、ボリビア、ブラジル、ペルー及びパラグアイの代表らが参加した。今後は二国間契約に向け、融資、鉄道の距離、ルート取り及び技術的仕様についての検討が成される見込み。総投資額は32億ボリビアーノス(約4億6,000万米ドル)を見込んでいる。なお、ティコナ公共事業・住宅省運輸担当次官によれば、ボリビアは国内を通過する予定の両大洋間横断鉄道1,894kmのうち929kmを既に建設しており、149kmを追加で建設中である。