2022年5月 ボリビア経済情勢

令和4年6月1日

1 経済指標など

(1)インフレ率:マイナス0.38%となり、1月から5月の平均は0.79%。
(2)都市部失業率:4.2%(前月5.34%)で、前年同月比マイナス46%。
(3)外貨準備高:45億7,800万米ドル(前月:46億200万米ドル)で、前年同月比マイナス6%。
(4)対外債務:126億7,400万米ドル(前月:126億7,700万米ドル)で、前年同月比プラス1%。
(5)対内債務:144億1,100万米ドル(前月:143億6,600万米ドル)で、前年同月比プラス34%。
(6)天然ガス輸出額:2億5,300万米ドル(前月:2億3,700万米ドル)で、前年同月比プラス31%。
(7)鉱物資源全体の輸出額:3億1,000万米ドル(前月:2億7,700万米ドル)で、前年同月比プラス29%。
(8)燃料輸入額(ガソリン及びディーゼル):3億100万米ドル(前月:3億2,700万米ドル)で、前年同月比プラス143%。
(9)貿易収支:5月時点で11億4,400万米ドルの黒字(前月:8億3,600万米ドルの黒字)(前年同月:6億9,600万米ドルの黒字)。。
(10)金輸出額:2億3,900万米ドル(前月:2億4,000万米ドル)で、前年同月比プラス26%。
 

2 経済関連報道等

(1)炭酸リチウム販売量(5月8日)

 ボリビアは今年2月、炭酸リチウムの輸出において過去最高の販売価格を記録した。2016年は、1トンあたり平均8,368米ドルだったが、2022年の1月~2月は、1トンあたり28,218米ドルに達した。2020年、アルセ政権が発足してからは、炭酸リチウムの輸出が再開され、2021年は合計1,018.5トン(990万米ドル相当)が、中国、米国、ロシアに販売された。2022年には、2月だけで約80トン(230万米ドル相当)をロシアに販売しており、ボリビアが炭酸リチウムの生産と輸出を開始して以降最高額となった。

(2)リチウム開発の展望(5月27日)

 ボリビアリチウム公社(YLB)は、経済社会開発計画に従い、バッテリー、塩化カリウム、炭酸リチウムの増産を計画している。総予算は10億3000万ボリビアーノス(約1億4800万米ドル)を見込んでいる。2022年の生産量は、塩化カリウム65000トン、炭酸リチウム750トンを目標としており、売上高は約5億2400万ボリビアーノス(約7550万米ドル)を社内目標としている。
 今後はウユニ、コイパサ、パストス・グランデスの三大塩湖で、炭酸リチウム生産プラントを建設する。2022年5月現在、ウユニ塩湖では、年間生産量15000トンのプラントを建設中である。総額約50億ボリビアーノス(約7億米ドル)の投資を見込んでおり、三大塩湖全てに、少なくとも一つのリチウム生産ライン(炭酸リチウム、水酸化リチウム、正極材等)を確立する。

(3)尿素アンモニアプラント(二機目)の建設計画(5月12日)

 ドルガセン(Armin Dorgathen)ボリビア石油公社(YPFB)総裁は、二機目となる尿素アンモニアプラントの開発計画について展望を述べた。同総裁は、「現在稼働中のプラントは、国内、ペルー、エクアドル、チリ及びアルゼンチンへの供給を優先するものであるが、新たなプラントはブラジル市場へ向け生産する。」旨述べた。

(4)炭化水素分野への投資インセンティブ(5月13日)

 ドルガセンYPFB総裁は、炭化水素分野への投資を誘致すべく、炭化水素法の改正が必要であると認めた。同総裁は、税金やロイヤリティといった国家の取り分(Government take)を削減する必要があると指摘した一方で、産出地域の利益を巡り政治的な問題が懸念されると述べ、自由な投資のために新たなインセンティブを用意すべく準備をしている旨述べた。

(5)外貨準備高増強のための方針(5月19日)

 5月9日時点で、ボリビア中央銀行の外貨準備高は、外貨の総額で14億2,400万米ドルとなった。同額は外貨準備の31%を占めており、残りは金が占めている。ボリビア中央銀行は、国内市場から金を購入し外貨準備を増強するための法的整備を実施し、同時に外貨準備の金を現金化するための用意を進める見込み。

(6)燃料補助にかかる政府補助の負担増(5月26日)

 炭化水素アナリストらによれば、今年度の燃料補助金は、42億6,800万米ドルに達し、政府予算が見込んだ6億9,000万米ドルを大きく上回る見込み。なお、同額は、GDPの11.6%に相当する。

(7)天然ガスによる収益の見込み(5月27日)

 ボリビア政府とYPFBは、今年の天然ガス生産量を一日あたり4,500万立方フィートと予想しており、昨年時点での予測よりも下回ると指摘した。他方で、収益はガス価格の高騰等の影響により増加し、前年度比75%増の29.7億米ドルに達する見込みである。