2022年3月 ボリビア経済情勢

令和4年4月1日

 1 経済指標など

(1)インフレ率は、マイナス0.05%となり、1月から3月平均は0.39%となった。一方、品目別では、小麦(11%増)、チーズ(8%増)、卵(3.9%増)となり、ウクライナ情勢の影響による物価高騰が目立った。
(2)都市部失業率は、5.27%となり、前年同月比マイナス35%となった。
(3)外貨準備高は、45億9900万米ドル(前月:43億9600万米ドル)で前年同月比プラス1.6%となった。
(4)対外債務は、125億8900万米ドル(2021年7月時点)で、更新情報無し。
(5)対内債務は、139億9800万米ドル(前月:138億6900万米ドル)で前年同月比プラス32%となった。
(6)天然ガス輸出額は、2億500万米ドル(前月:2億1400万米ドル)で前年同月比プラス15%となった。
(7)鉱物資源全体の輸出額は、2億7000万米ドル(前月:2億2100万米ドル)で前年同月比プラス15%となった。
(8)燃料輸入額(ガソリン及びディーゼル)は、2億2800万米ドル(前月:3億2600万米ドル)で前年同月比プラス200%となった。
(9)貿易収支は、3月時点で1億4400万米ドルの黒字(前月:1億1100万米ドルの黒字)となった(前年同月:1億1600万米ドルの黒字)。
(10)金輸出額は、2億800万米ドル(前月:2億1900万米ドル)で前年同月比プラス28%となった。
 

2 経済関連報道等

(1)金融政策年次報告書(ボリビア中央銀行)

 8日、ボリビア中央銀行は、金融政策年次報告書(Informe de Politica Monetaria(IPM))を公表した。IPMは、2021年のボリビア経済に関し、貿易収支黒字化、外貨準備安定、中銀による経済政策、GDPの回復などを強調するとともに、2020年のアニェス前暫定政権によるIMFからの資金調達を違法であるとして非難した。

(2)2022年のボリビア経済見通し

 IPMによれば、2022年のGDP成長率は5.1%、インフレ率は3.3%を見込んでいる。

(3)放射線治療センターの開所

 3月6日、エルアルト市において、ロシア国営ロスアトム社の参画するプロジェクトの一環である、核医学・放射線治療センターが開所し、アルセ大統領が開所式に参列した。同センターでは、診察から治療に至るまで、一日あたり120人のガン患者が無料で診察及び治療を受けられる。
 一方、デ・ラ・クルス(Roberto de La Cruz)弁護士(元エルアルト労働者連合総裁)は「いま、ロシア大使と一緒にCMNyRを開所するのは時期的にも機会的にも不適切である。第三次世界大戦の引き金を引きたいのか?」旨述べ、大統領の参列を非難した。

(4)トウモロコシの不足

 サンタクルスの養鶏農家らは、干ばつの影響によるトウモロコシの不足と、パンデミックの影響による飼料輸入の停滞を受け、ボリビア政府に対してトウモロコシの輸入を促進するよう求めている。

(5)ルレナバケ空港の再開

 21日、ルレナバケ空港の引き渡し式が行われ、アルセ大統領が参列した。ルレナバケは観光地として人気が高く、空港の再開は経済活性化計画の一環に位置づけられている。

(6)国勢調査

 2022年の国際調査は11月16日に実施される(最高政令第4546号)。開発企画大臣によれば、国勢調査には、国連をはじめとする国際機関代表らから成る委員会が参加の上フォローする。

(7)海外送金

 24日、ボリビア中央銀行は、2022年1月時点の海外送金額が1億1400万米ドルに達し、国内の外貨準備増強に貢献していると発表した。

(8)ウクライナ情勢の影響

 当地フビレオ財団は、ウクライナ情勢による小麦の価格高騰を受け、ボリビア国民をさらなる貧困に追い込む可能性があるとして警鐘を鳴らしている。また、ボリビア政府にとっては、パンの安定供給を保証する必要性から、小麦に対してより多額の補助金支出を強いられるだろうと述べた。
(当館注:ボリビアでは、パンの重さと販売価格が定められており、原料である小麦に対しては、政府が補助金を出すことで価格の安定化を図ってきた。)

(9)密輸の影響

 ハイメ・ドゥン経済アナリストは、ボリビアにおける密輸は約32億米ドル規模の金を動かしており、政府は6億5000万米ドル規模の損害を放置していると述べた。

(10)燃料補助金支出の増大

 ボリビア石油公社(YPFB)は、国際価格の高騰により、燃料補助金支出が増大することを認めた。2021年は、6億2200万米ドルの補助金を支出しており、2022年度は約6億9000万米ドルに達すると見込んでいる。