2022年2月 ボリビア経済情勢

令和4年3月1日

1 経済指標など

(1)インフレ率は、0.12%(1月~2月平均:0.43)で前年同月比マイナス80%となった。
(2)失業率は、更新情報無し。
(3)外貨準備高は、43億9600万米ドル(前月:44億8300万米ドル)で前年同月比マイナス7.8%となった。
(4)対外債務は、125億8900万米ドル(2021年7月時点)で、更新情報無し。
(5)対内債務は、137億6300万米ドル(前月:136億8600万米ドル)で前年同月比プラス29%となった。
(6)天然ガス輸出額は、1億8200万米ドル(前月:2億300万米ドル)で前年同月比プラス19%となった。
(7)鉱物資源全体の輸出額は、2億1700万米ドル(前月:2億2700万米ドル)で前年同月比プラス6.8%となった。
(8)燃料輸入額(ガソリン及びディーゼル)は、3億1500万米ドル(前月:1億3300万米ドル)で前年同月比プラス262%となった。
(9)貿易収支は、2月時点で4700万米ドルの黒字(前月:1億8400万米ドルの黒字)となった(前年同月:1億200万米ドルの黒字)。
(10)金輸出額は、1億8200万米ドル(前月:1億7400万米ドル)で前年同月比マイナス6%となった。
 

2 経済関連報道等

(1)ボリビア経済に関する評価

 ボリビアAESAレーティング(フィッチ・レーティングスとの契約企業)は、2021年のボリビア経済に関し「ボリビア経済は多くの懸念に晒されているものの、全体としては堅調である」との評価を下した。懸念事項としては、外貨準備減少、財政収支の二点が指摘されている一方、2021年の貿易収支黒字化、(緩やかなるも)経済成長率の回復、堅調な鉱物輸出といった点を経済回復のサインとして評価している。対外債務の調達に関しては、「未だ調達の余地を残している」と判断している。

(2)借り換えソブリン債の発行

 2月10日、ボリビア政府は、2022年、2023年及び2028年に順次返済期限を迎える総額20億米ドル分のソブリン債に関し、借り換えのソブリン債の発行を表明した。
 同ソブリン債に関し、ボリビア政府は当初2月17日を販売期限としていたが、16日、右期限を2月22日まで延長した。結果として約8.5億米ドル(利率7.5%、償還期間8年)が発行された。

(3)ボリビアの対外債務状況に関する評価

 2月23日、経済財政省は「厳しい国際情勢にもかかわらず、ボリビアは国際市場において成功を収め、償還期間8年、利率7.5%で8.5億米ドルのソブリン債を発行した。この結果は、国際市場における大きな価格変動(ボラティリティ)と不確実性、さらに暫定政権による不十分な経済政策がもたらした信用格付けの低下にもかかわらず、現政権が講じた政策によりボリビアが投資家の信用を取り戻したことを反映するもの。今般のソブリン債発行は、2022年及び2023年に償還期限の到来するソブリン債に相応するものであるため、対外債務は増加しない。」旨発表した。
 フィッチ・レーティングス社は、今般の買い換えソブリン債に対する評価をBとした。
 これを受け、ボリビアの経済アナリスト(Jaime Dunn)は、数年前のソブリン債(BB評価)よりもさらに評価が下がった点を強調した上で「BBもBも、どちらも投機的で不確実性の大きい、脆弱な評価である。しかしB評価は明らかにBBよりもさらに投機的であり、この評価はボリビアがナイジェリアと同水準にあることを示している。つまり、ボリビアは以前よりもさらにリスクのある国として分類されており、投資家に対してより大きな収益性(利率7.5%)を与えねばならなかった。」旨述べた。

(4)経済自由度指数

 米国ヘリテージ財団が発表した「2022年度経済自由度指数」において、ボリビアは184カ国中169位にランク付けされた。

(5)炭化水素大臣の第6回GECF参加及びロシアとの会談

 2月21日及び22日、モリナ炭化水素大臣は、カタール・ドーハで開催された第6回ガス輸出国フォーラム(GECF)にボリビア政府代表として参加するとともに、ロシアのシュルギノフ(Nikolai Shulginov)エネルギー大臣と会談した。同会談においては、ボリビアにおける石油・ガスの地質調査、生産、輸送、処理、精製、貯蔵、販売にかかる共同プロジェクトに向けて、二国間協力関係確立の可能性について議論した。
マイタ(Raul Mayta)炭化水素探査・開発次官によれば、ロシアは、炭化水素、リチウム及び原子力技術にかかるボリビアとの協力における強い関心と全面的な協力の姿勢を表明しており、両国は、二国間協定の締結を目指している。

(6)リチウム開発

 ラテンアメリカ地政学戦略研究所(CELAG)によれば、ボリビア、アルゼンチン、チリ、メキシコ及びペルーは、地球上に埋蔵されるリチウム総量のうち67%を保有している。リチウム開発が最も進んでいるのはチリで、オーストラリアに次いで世界二位、約22%のシェアを誇る。また、同研究所は、アルゼンチン、メキシコ、ボリビアの三国間でリチウム資源共同開発の可能性がある旨指摘している。

(7)SABSAの運営終了

 2月28日、ボリビア空港サービス社(SABSA)は、主要都市の空港(エル・アルト、コチャバンバ、ビルビル)における運営を終了した。以降は、ボリビア空港・航空案内公社(NAABOL)がSABSAの従業員を雇用し、全業務を引き継ぐ。SABSAでは、2021年11月末から12月にかけて、労働者らが、未払い給与の支払いや局長の辞任を求めストライキを展開していた。

(8)日本向けキヌアの輸出可能性

 2月9日、アルセ大統領はオルロ記念日の祝賀イベントにおいて、2022年には、ドイツ、中国、日本向けに約430万米ドル分のキヌアを輸出すると述べた。

(9)電気自動車輸入台数

 2021年、ボリビアは約1100台の電気自動車とオートバイを輸入した。政府は、2030年までに国内の車両のうち、最低でも20%分を電気自動車にすることを目標としている。

(10)遺伝子組み換え大豆の現状

 2月10日付け、エル・デベール紙によれば、ボリビア国内では、政府が認可していない遺伝子組み換え大豆が生産されており、大豆作付け面積の40%を遺伝子組み換え大豆が占めている。