ボリビア内政・外交(2022年4月)

令和4年5月1日

1 内政

モラレス元大統領のキューバ訪問

23日、エボ・モラレス元大統領は、キューバのカサ・デ・ラス・アメリカスで開催中の第30回国際ブックフェアーに出席し、自身の2019年メキシコへの逃亡、アルゼンチン滞在、そして帰還までの道のりを綴った、スペイン人作家による「エボ:救出作戦。365日に及ぶ地政学的陰謀(Evo: Operacion rescate. Una trama geopolitica en 365 dias)」と題する書籍を紹介した。
モラレス元大統領は、「2019年のクーデターには、米国及びボリビアに2,100万トン眠っているとされるリチウムに関連する多国籍企業が関わっていた。巨額の資金が動いていた。その証拠の一つとして、米国テスラ社社長のムスク氏が、「我々が望ましいと思う者に対してクーデターを行うであろう」とツイートしていたことが挙げられる。」と述べた。
 

2 外交

(1)ロシアの人権理事会資格停止に関する国連緊急特別総会決議

 4月7日、ボリビアは、キューバ、ニカラグア、ベネズエラ等計24か国と共に、緊急特別総会におけるロシアの人権理事会加盟資格停止に関する決議に反対票を投じた。
これまで、ロシアに対する関連決議に国連の場で3度、米州機構の場で1度棄権してきたが、反対票を投じたのは初めてであり、多くの批判を招いている。
ムニョス・ヒューマンライツウォッチ米州主任調査官は、「ロシアの人権理事会加盟資格停止決議に反対したラテンアメリカの国は、ボリビア及びキューバ、ニカラグアの独裁者だけである。この歴史的な投票が、誰が正義を擁護し誰がそうでないかを示した。」と自身のツイッターでツイートした。
キロガ元大統領は、「ボリビア、ニカラグア、キューバ、シリア他が、決議案に反対票を投じた。彼らは、敗北したが、”受動的棄権”からプーチンの犯罪を支持する側に回ったボリビアの恥ずべき投票は、ボリビアに甚大なるダメージを与える。」旨ツイートした。
国際関係学者のグスマン氏は、ボリビアの投票態度について、「常に、同様の軍事行動や侵略を非難してきたボリビアの外交方針に反するという意味で、否定的である。今後、ボリビアが他の分野で他国の支持を必要とするとき、(今回の投票の)影響が出てくるであろう。なぜなら、反対票によって国際社会から孤立してしまうからである。」と述べた。
 
 

(2)シララ水系の地位及び利用に関する紛争

 4月19日、マイタ外相は、カルサディージャ国際司法裁判所(ICJ)代理人、及びカルデロン外務省海洋問題戦略局(DIREMAR)局長とともに、シララ水系の地位及び利用に関する紛争に係る口頭審理について記者会見を開いた。
 マイタ外相は、「チリは絶対にシララ水系の100%を使用するための権利を保持しようとすることは出来ない。その点について、我々は明確にし、チリは、右権利を保持しようとすることはない、と明言した。」と述べた。
 また、同外相は、「ICJには、判決を出すための期限がないので、前例からすると、判決が出るのには、半年ほどかかるであろう。我々は、ICJの判決が公平であり、我々が法廷の場で提示した基準、資料に留意してくれることを期待する。そして、我が国及び国民の権利が守られることを願う。」とした。
 

3 コロナワクチン関係

28日、603,720回分のファイザー社製ワクチンが到着。
これにより、4月末までに受領したワクチンは、累計24,418,760ドーズとなった。