ボリビア内政・外交(2022年3月)

令和4年4月1日

1 内政

「北朝鮮」学校の開校式及び学校の命名方法

3月3日、「北朝鮮」学校(Unidad Educativa Republica Corea del Norte)と命名された公立学校の開校式にアルセ大統領が出席した。
独裁国家を国際社会が非難している一方で、アルセ大統領は、「北朝鮮」学校にお墨付きを与えたのである。
公立学校の命名方法について、教育省担当者は、各自治体の教育委員会が命名するとした。
同担当者は、「他国でも同様であると思うが、学校は、国家にとって重要な財産であるので、(校名に名前等を付することは)最も美しい兄弟愛の表現方法である。」とした。
当国における、議論を呼ぶ校名は、北朝鮮にとどまらず、フィデル・カストロ、ウーゴ・チャベス、エルネスト・チェ・ゲバラやアルバロ・ガルシア・リネラ元大統領の名を冠した学校も存在する。
 

2 外交

(1)ウクライナ情勢

 ママニ外務次官は、平和国家として、紛争は外交努力によって、解決されなければならないとするボリビアの立ち位置を説明した。
 同次官は、「(ボリビアの立ち位置について)混乱を招く言論が見られるが、平和国家としてのボリビアの立ち位置は明白で、全ての紛争は外交努力により解決されなければならないとするものである。ボリビアは、平和的解決を求め、グティエレス国連事務総長の努力に協力する。」旨述べた。
 また、同次官は、3月1日時点まで、国連総会及び国連人権理事会においては、いかなる決議も採択されていないことを指摘した。なお、いずれにもボリビアは参加しており、国連総会の場で、パリー国連常駐代表は、ボリビアの立場を説明している。
 パリー国連常駐代表は、ボリビアは憲法に規定されているように平和国家であり、いかなる国家間の紛争を解決する手段としての侵略や脅しを否定する。また、アフガニスタン、リビア、シリア、パレスチナ、そして今日のウクライナといった、歴史的に国際法や国連憲章を蹂躙して実行されてきた、大国による一方的な侵略や軍事行動を断固として否定するとした。また、NATOは、安全保障の擁護者たり得ず、国連安保理の決議なく旧ユーゴスラビアへ空爆を行ったことを想起しさえすれば、同同盟は、国際安全保障に対する脅威であると述べた。
(ベラルーシ国境において、ウクライナとロシアの代表団による会合が開催されたことについては)暗闇に一筋の光が見えた。信義誠実に建設的な議論が継続されることを望むとし、国際社会には、集団安全保障を構築する能力が備わっていなければならない。すなわち、議論を進める代わりに、平和的解決の機会を損なう、一方的制裁のような宣言や行動に走らないよう呼びかけると述べた。
3月2日、マイタ外相は、国連緊急特別総会における決議への棄権について、同決議には外交を通じた対話によって解決されなければならないとの言及が一か所しかないことに触れつつ、「採択された決議では、何の解決にもつながらないであろう。火に油を注ぐだけである。紛争当事国間の架け橋ではなく、むしろ障害物となり得る、解決すべき多くの問題が残されており、それらが火種としてくすぶり続けるであろう。」と述べた。
3月3日、EU、仏、独、スウェーデンの各大使及び西臨時代理大使は、共同記者会見を行い、ウクライナ情勢に関し、ロシアこそがウクライナへの侵略者であり、人権侵害及び国際社会の安全が脅威にさらされているとした。。
 ドッチィEU大使は、今回の会見は、この紛争に関する誤った情報を訂正することを目的としているとし、「欧州に戦争が再来した。ある国家が大義名分もなく、民主的に選ばれた大統領を排除するために攻撃を仕掛けたのである。核大国の一つであるロシアが平和で民主的な隣国を攻撃し、侵略した。」として、国連総会決議に棄権したボリビアを含む全ての国と対話を継続するとして、「対話の継続が重要である。ボリビア外務省とも建設的な対話を行った。我々の立場を説明するべく対話を継続する。」旨述べた。
3月4日、ジュネーブで開催された国連人権理事会において、ロシアのウクライナ侵攻に関連する調査委員会設置の決議に、ボリビアは中国、キューバ及びベネズエラ等と共に棄権票を投じたが、同決議は賛成多数で可決された。
3月24日、第11回国連緊急特別総会におけるウクライナ提案決議案(L.2)投票において、ボリビアは前回の決議案に続き棄権した。
ママニ外務次官は、「南アフリカの提案は、問題を政治化することなく、ウクライナの人道的危機に対する解決策を求めていたので、全体会議で検討されなかったことは遺憾である」とした。
 

(2)アルセ大統領のチリ大統領就任式出席

 3月10日夜から11日にかけてチリを訪問したアルセ大統領は、11日、チリ大統領就任式に出席した。
3月11日、ボリッチ・チリ大統領を表敬したアルセ大統領は、「両国間の課題全般について意見交換し、詳細は各外相に譲った。政府高官のビザ、シララ水系、そしてチリとの関係で我が国にとって最も重要な問題である海洋問題についても意見交換した。また、両国間の外交関係の復活及びボリビアからチリに入国するベネズエラ人移民問題についてもテーマとして取り扱った。」旨述べた。さらに、アルセ大統領は、太平洋への出口を主権の一部であるとし。ボリビアは絶対に譲らない姿勢を示した。
ボリッチ大統領就任式に参列したガルシア・リネラ元副大統領について、チリではボリッチ大統領のメンターであると見なされている。ガルシア・リネラ元副大統領は、「社会的、経済的、政治的変革を求めてボリッチ氏に投票した有権者の期待を裏切らないことが最も重要である。(チリにおける政治的新潮流について)彼らは、社会運動出身であり、自分たちで考え行動する学生リーダーの世代であり、チリや南米において主流であった新自由主義との決別を掲げる点で、これまでと異なっている。」旨述べた。
 

(3)カスティージョ・ペルー大統領との首脳会談

 3月11日、アルセ大統領は、カスティージョ・ペルー大統領と会談し、2021年11月の会談で合意した二国間のアジェンダについての進捗状況を確認するため、毎月電話会談を行うことで一致した。
カスティージョ大統領との会談を終えたアルセ大統領は、「電話会談の実施に合意したことは非常に重要である。合意に至っていない様々な課題が両国間にはあるが、カスティージョ大統領との間で、全てのアジェンダをクリアできると確信している。」旨述べた。
 

(4)フェルナンデス・アルゼンチン大統領との首脳会談

3月11日、アルセ大統領は、フェルナンデス・アルゼンチン大統領と会談し、天然ガス売買に関する契約の新たな付属文書をはじめとする、様々なテーマについて議論を行った。
同会談において、フェルナンデス大統領は、アルセ大統領のアルゼンチン訪問を提案した。
 

3 コロナワクチン関係

3月到着分は無し。これにより、3月末までに受領したワクチンは、累計23,815,040ドーズとなった。