ボリビア内政・外交(2020年11月)

令和2年11月21日

1 概況

(1)8日,アルセ大統領就任式が実施され,9日,アルセ政権が発足した。

(2)9日,モラレス前大統領及びガルシア・リネラ前副大統領がボリビアに帰国した。

(3)13日,文化・脱植民地化・脱家父長化省の再創設,エネルギー省の炭化水素省への併合,スポーツ省の保健省への吸収措置がとられた。

(4)ボリビア政府は,キューバ及びベネズエラとの外交関係を再開した。

(5)ボリビア政府は,米州ボリバル同盟(ALBA),ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)及び南米諸国連合(UNASUR)への再加盟する旨の声明を公表した。
 

2 内政

(1)4日,10月29日に選出されていたロドリゲス(Mr. Andronico Rodriguez)上院議員(MAS党,コチャバンバ県選出,31歳)が上院議長(任期:2020~2021年)に就任した。29歳で上院議長に就任したサルバティエラ元議長に続き,ボリビア史上2番目に若い上院議長となる。併せ,第一副議長にはラスギド議員(MAS党),第二副議長にはパス議員(CC)が就任した。

(2)3日,10月29日に選出されていたママニ(Mr. Freddy Mamani)下院議員(MAS党,ラパス県選出)が下院議長(任期:2020~2021年)に就任した。併せ,第一副議長にはアリ議員(MAS党),第二副議長にはアリアガ議員(CC)が就任した。

(3)8日,大統領就任式が実施され,アルセ大統領及びチョケワンカ副大統領が就任した。9日,アルセ大統領は16名の閣僚を任命し,内閣を発足させた。
マイタ(Rogelio Mayta Mayta)外務大臣
プラダ(Marianela Prada Tejada)大統領府大臣
デル・カスティージョ(Carlos Eduardo del Castillo del Carpio)内務大臣
ノビージョ(Edmundo Novillo Aguilar)国防大臣
メンドサ(Felima Gabriela Mendoza)開発企画大臣
モンテネグロ(Marcelo Alejandro Montenegro Garcia)経済・財務大臣
オルティス(Franklin Molina Ortiz)炭化水素大臣
ウアンカ(Nestor Huanca Chura)生産開発・複合経済大臣
モンタニョ公共事業・サービス・住宅大臣
ビジャビセンシオ(Ramiro Felix Villavicencio)鉱業・冶金大臣
リマ(Ivan Lima)法務・透明性大臣
ナビア(Veronica Patricia Navia Tejada)労働・雇用・社会保障大臣
ポソ(Edgar Pozo Valdivia)保健大臣
サントス(Juan Santos Cruz)環境・水資源大臣
ケルカ(Adrian Ruben Quelca Tarqui)教育・文化・スポーツ大臣
カセレス(Wilson Caceres Cardenas)農村開発・土地大臣

(4)9日,モラレス前大統領及びガルシア・リネラ前副大統領は,2019年11月10日以来,一年ぶりにアルゼンチンから陸路で帰国し,11日,最終目的地のコチャバンバ県チモレ市に到着した。

(5)13日,ボリビア政府は,最高政令4393号の発令をもって,文化・脱植民地化・脱家父長化省の再創設,エネルギー省の炭化水素省への併合,スポーツ省の保健省への吸収措置を採った。これにより,政府は17省構成となった。保健省は,衛生システム管理次官室,保健・感染症監視・伝統医療次官室,医療保険・皆保険管理次官室及びスポーツ次官室の4次官室構成となった。

(6)17日,モラレス前大統領は記者会見において,自身がMAS党党首に選出されたと発表した。

(7)20日,オレジャナ(Mrs. Sabina Orellana Cruz)文化・脱植民地化・脱家父長化大臣が任命された。

(8)21日,MAS党臨時全国拡大大会がコチャバンバにおいて開催され,来る地方選挙に向けた候補者選出方針等が協議された。モラレスMAS党党首は,少なくとも県知事選においては9県のうち7県,地方自治体首長選においては全国の339市町村のうち300市町村において勝利することを目標とし,各県に候補者選出及び選挙キャンペーンを準備するための活動にかかるスケジュールを作成するよう指示した。同党首は,12月17日までに最高選挙裁判所に対して候補者登録をするためのリストを提出すると明言した。

3 外交

(1)対イラン
ア 9日,ザリーフ・イラン外相は,アルセ大統領とチョケワンカ副大統領の就任式に出席し,アルセ大統領と会談を行った。
イ 11日,タフレシ・イラン大使は,マイタ外務大臣同席の下,アルセ大統領に対して信任状を捧呈した。

(2)対ベネズエラ
ア 8日,アルセ大統領就任式にアレアサ・ベネズエラ外相(マドゥーロ政権)及びゴンサレス元ベネズエラ大使(マドゥーロ政権)が出席した。
イ 9日,アレアサ・ベネズエラ外相はラパス市に所在するベネズエラ大使館施設を奪還した。
ウ 同日,同外相はボリビア政府に対して,マドゥーロ政権が派遣するヤノス大使をベネズエラ大使として承認するよう要請する書簡を提出した。同日,マイタ外相は,アレアサ・ベネズエラ外相から,ヤノス・ベネズエラ大使の信任状の写しを受理した。
エ 11日,ヤノス・ベネズエラ大使は,マイタ外相同席の下,アルセ大統領に対して信任状を捧呈した。

(3)対キューバ
11日,マイタ外務大臣は,ラ・オ・モラ(La O Mora)キューバ臨時代理大使の表敬を受けた。ボリビア政府及びキューバ政府は,外交関係を再興し,二国間関係を強化する意志を表明した。

(4)対メキシコ
10日,アルセ大統領は,ロペス墨大統領が発出した祝意のビデオメッセージ(自身のツイッターに掲載)に応えるかたちで,「ロペス墨大統領のメッセージに深く感謝する。知能にあふれた彼の言葉は,我々の心に届く。全ての墨国民に抱擁を。我々が乗り越えなければならなかった難しい時期の墨の連帯を忘れない。」とツイートした。

(5)対アルゼンチン
ア 8日,アルセ大統領は,大統領就任式に参列したフェルナンデス亜大統領と就任式後に会談した。
イ 11日,アルセ大統領はフェルナンデス亜大統領に向けて「ボリビアにとって,民主主義を回復するという歴史的な日に,ボリビア国民に希望を取り戻させるというプロセスに,フェルナンド亜大統領が同伴してくれたこと,誠実な優しさを示してくれたことに感謝する。前へ進もう。」とツイートした。

(6)対ロシア
13日,外務省は,「マイタ外務大臣は,スプリンチャン露大使の表敬訪問を受けた。」とツイートした。

(7)対中国
ア 7日,アルセ大統領は「兄弟,習近平中華人民共和国主席及びMr. Huang Yazhong中国特命全権大使の祝福に感謝する。両国民の利益のための協力関係を継続していく。(ハッシュタグ)我々は前進する。」とツイートするとともに,習主席発アルセ大統領宛書簡(11月3日付け,署名入り)の写真を掲載した。
イ 13日,外務省は,「マイタ外務大臣はMr. Huang Yazhong中国大使の表敬訪問を受けた」とツイートした。
ウ 13日,外務省は「11月12日,マイタ外相は第44回G77+中国会合に出席した。同会合においては,新型コロナウイルスの世界的なパンデミックへの対応及び2030年に向けたアジェンダを成し遂げるに際しての障害と持続可能な開発目標(SDGs)における達成事項が取り扱われた。」とツイートした。

(8)対パレスチナ
ア 16日,外務省は「マイタ外務大臣はMr. Mahmoud Elalwaniパレスチナ大使と会合し,国際政治および二国間関係について意見交換した。」とツイートした。
イ 29日,外務省は,パレスチナ人民連帯国際デーにあたり,兄弟国に対して平和的解決のための国際的な動きを支持するよう呼びかける旨の声明を発出した。

(9)対米国
ア 6日,アルセ次期大統領は,ポンペオ米国務長官が発出した祝意のツイート(11月4日付け)に応えるかたちで,「10月18日の勝利に対するポンペオ国務長官からの祝意の電話連絡に感謝する。ボリビア国民,民主主義及び平和が勝利した。すべてのボリビア国民のために素晴らしい日々の希望を取り戻す。(ハッシュタグ)我々は前進する。」とツイートした。
イ 7日,アルセ次期大統領は,大統領就任式参列のためにボリビアを訪問したマッキントッシュ米財務省国際担当副長官と会談した。

(10)対ペルー外交
16日,ボリビア外務省は「兄弟であるペルー共和国における政治危機について」と題する,対話及び平和を再構築することを奨励する旨の外務省声明を発出した。

(11)対IDB
16日,外務省は「マイタ外相はメランドリ(Alejandro Melandri)米州開発銀行(IDB)在ボリビア代表とバーチャル会議を行い,技術協力及び無償資金協力を通じたアマゾン生態系保全にかかる環境イニシアティブの実施に言及した。」旨ツイートした。

(12)対日外交
ア 19日,副大統領府は「チョケワンカ・ボリビア多民族国副大統領は,伯耆田日本国特命全権大使の表敬訪問を受けた。」とツイートした。
イ 19日,外務省は「マイタ外務大臣は伯耆田日本国大使の表敬訪問を受けた。」とツイートした。
ウ 20日,保健省は「ポソ保健大臣は,伯耆田日本国大使の表敬訪問を受けた。」とツイートした。
エ 26日,鉱業・冶金省は,HPにおいて,伯耆田大使の鉱業・冶金大臣表敬訪問について発表した。

(13)チリとのシララ問題
17日,マイタ外相は,Erbolラジオにおけるインタビューで,国際司法裁判所(ICJ)に提訴されているチリとのシララ問題について発言し,ロンガリク外相(アニェス暫定政権)がシララ問題にかかる秘密情報を公表した旨批判した。

(14)その他
ア 16日,ボリビア外務省は,外務省HP及びツイッターを通じて,ボリビアはラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の枠組みによる宇宙分野における協力の地域メカニズムの宣言に署名した旨発表した。
イ 20日,外務省は,ボリビア政府は米州ボリバル同盟(ALBA),ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)及び南米諸国連合(UNASUR)への再加盟する旨の声明を公表した。
ウ 22日,国連ボリビア事務所は,同事務所HPを通じて,「『ボリビアにおける対話のための合意』締結から一年後,国連はボリビアにおける和平を強固なものにするための努力を継続するよう呼びかける」と題した声明を発表した。
エ 23日,ボリビア政府と米州人権委員会(CIDH)の間において,昨年11月12日に合意された「独立した専門家による国際グループ(GIEI)」の派遣にかかる行動プロトコールへの署名式が挙行され,GIEIによる2019年9月~12月の人権侵害にかかる調査報告書が6ヶ月後にボリビア検察に提出される旨発表された。