2020年10月 ボリビア経済情勢

令和2年10月20日

1 マクロ経済

(1)インフレ率(6日付報道)

国立統計局によれば,消費者物価指数は1月から9月にかけて0.45%上昇した。食料品などは減少した一方で,保健衛生及び医療品の価格が7.65%,交通が3.35%,教育が2.69%,通信が2.18%上昇している。


(2)直接外国投資(6日付報道)

ボリビア中央銀行によれば,6月までの直接外国投資額は約19億ドルを記録し,直近7年間で最も低い値となった。なお,2013年は,175億ドルで最も高い値を示し,2014年には66億ドル,2019年は23億ドルであった。
専門家らは,法的枠組みや税制が足枷となっていると指摘している。


(3)GDP成長率予測(18日,27日付報道)

アポンテ前ボリビア中央銀行総裁は,今年度のGDP成長率は6.2%のマイナスとなり,来年度は2.1%の成長をすると見込んでいる。同前総裁によれば,最も影響を与えた要因は,2019年度から続く政治的紛争と,今年度のパンデミックによって歳入が減少したことであり,国際資源価格の低下も影響したと指摘している。
IMFは今年度のGDP成長率を7.9%のマイナスと見込んでおり,2021年度には5.6%の成長と試算している。
世界銀行は,来年以降のGDP回復率を試算しており,2021年は4.4%の上昇,2022年度は3.8%の上昇と算出している。
 

2 天然資源

(1)鉱物資源輸出(5日付報道)

国立統計局によれば,パンデミックの影響により,1月から8月までの鉱物資源輸出は43.9%落ち込み,約81億ドルとなった。前年度比では,亜鉛が50.7%の減少,銀が28.9%の減少,鉛は48.1%減少した。
コルドバボリビア鉱山公社前総裁は,ミネラ・サンクリストバルの操業停止が大きな影響を与えたと指摘しており,ガルソン前鉱業・冶金大臣は,サンクリストバル鉱山を元とする主要な鉱山での生産力が低下し始めていると述べた。


(2)ミネラ・サンクリストバル(8日付報道)

ミネラ・サンクリストバル社は,2019年度のサステイナビリティ・レポートを公表した。同レポートによれば2019年度(2019年1月1日~2019年12月31日)の収益は5,100万ドルで,ボリビア政府への支払総額は,約4億0,190万米ドルであった。また,約4億ドルの税金をポトシ県に支払った。
なお,ポトシ県の収益のうち6割は同社の支払うロイヤリティによるものである。

(3)天然ガス輸出(22日付報道)

国立統計局によれば,1月から9月の天然ガス輸出額は,15億2,400万ドルとなり,前年度比22%の減少となった。炭化水素分析家ベルナルド・プラドは,パンデミックによる国際価格の下落が影響したと指摘している。


(4)アルゼンチンの炭化水素取引見直し(22日付報道)

リオス前炭化水素大臣は,先月発表されたアルゼンチンの炭化水素取引見直し計画について触れ,同国が,バカ・ムエルタにおけるシェールガス開発に注力し,ボリビアからの天然ガス輸入を減らしていくと指摘した。