2018年2月 ボリビア経済情勢

平成30年3月5日

1 マクロ経済

(1)貿易赤字

 1日付報道は,民間の貿易研究機関(IBCE)のデータによれば,2017年の輸出額が2016年比で10.5%上昇したが,貿易赤字は3年連続で史上最高を更新したと報じた。昨年12月までの輸出額は79億8,550万米ドル,輸入額は92億8,780万米ドルで,貿易収支はマイナス13億230万米ドルである(2015年の貿易収支はマイナス8億5,500万米ドル,2016年はマイナス12億8,700万米ドル)。

 
(2)外貨準備高

 2日付報道は,ボリビア中央銀行(BCB)の報告書によれば,2017年の外貨準備高が102億6,100万米ドルとなり,2016年の100億8,100万米ドルに比べ1.7%上昇したと報じた。
 

(3)経済自由度ランキング

 4日付報道は,米国のヘリテージ財団が実施した経済自由度ランキング(2018年版)において,12の指標(例:財産権の保護,法的有効性,税負担,投資の自由,財政の自由等)により,186か国を調査した結果(そのうち6か国はランキング不可能),下位10か国中,中南米ではボリビア(173位で44.1点/100点),キューバ(178位で 31.9点),ベネズエラ(179位で25.2点)がランクされていると報じた。一方,唯一「おおむね自由」にランキングされる中南米の国はチリで,20位で75.2点であった。
 

(4)海外送金

 15日付報道は,ボリビア中央銀行(BCB)の最近の報告書によれば,2017年のボリビアへの送金総額が12億8,900万米ドルに達し,2016年比で7.1%上昇し,史上最高額となったと報じた。主な送金元は,西(32.8%),米(17%),亜(14.4%),伯(11.9%),チリ(9.7%)で,主な送金先は,サンタクルス(41.8%),コチャバンバ(31.4%),ラパス(13.8)となっている。

 
(5)ボリビアの民間企業数

 15日付報道は,企業開発財団(FUNDEMPRESA)の最近の報告書によれば,2017年現在,民間企業数は合計29万5,829社で,2016年比で4%上昇したと報じた。内訳は,79%が個人事業主,19%が有限会社,1%が株式会社であるが,同データは,個人事業主の形態では雇用は広がらず,また,事業展開も非常に限られていることを示している。


(6)国営企業

 15日付報道は,グレマン・モリナ経済専門家によれば,2005年に22社存在していた国営企業が,現在48社に増加しており,現政権がBCBの融資を受けて26社を創業したと報道した。また,同専門家は,政府が国営化及び買収した企業は,政府支出と財政赤字を増やす原因となっていると述べた

2 鉱物資源・天然ガス等

1)リチウム

 16日,梁宇(Lian Yu)駐ボリビア中国大使は,3社又は4社の中国企業が,リチウム産業化に関心を示しており,ボリビア・リチウム公社の入札において,提案書を提出したと述べた。
(※補足:モンテネグロ・ボリビア・リチウム公社総裁は,1月29日付報道において,リチウムの産業化及びリチウム・バッテリー製造に対して関心を示す国際企業は8社であり,それらは露,独,中国であると述べていた。)
 

2)天然ガス

ア  26日,ボリビア石油公社(YPFB)は,ドゥバイのカンパックオイル社と英に本社を有するミルナー・カピタルUK社との間で,マドレ・デ・ディオス地域(パンド県)の天然ガス掘削に対し,25億米ドルの投資を行うことを約束した。覚書には,モラレス大統領,サンチェス炭化水素大臣及びバリガYPFB総裁が署名した。

イ  26日,仏のベイシップ・フランラブ社の炭化水素資源に関する調査報告が公表され,ボリビア国内の天然ガス及び石油の潜在性として,天然ガスは130兆立方フィート,石油は150億バレルの採掘可能性があると算出し,20か所の新鉱脈があると報告された。

3 南米大陸横断鉄道プロジェクト

 21日,クラロス公共事業大臣は,3月16日にコチャバンバ市において開催予定の会合に,南米大陸横断鉄道プロジェクト参加国を招集し,同プロジェクトの強化及び技術事務局の運営体制に関する承認について協議すると述べた。

4 中国の融資

 21日付報道によれば,梁宇(Lian Yu)駐ボリビア中国大使は,2018年までのボリビアへの融資枠が70億米ドル以上に達すると発表し,主として,道路建設,精糖,塩化カリウム,リチウムの工場建設に使われる予定であると述べた。2007年の中国からの融資額は7,540万米ドルであったが,2016年には5億7,120万米ドルに達し,2016年までの融資に対する金利は,平均2.9%である。
(了)