2018年1月 ボリビア経済情勢
平成30年2月5日
1 マクロ経済:2017年のインフレ率
5日,国立統計局(INE)の報告書によれば,2017年1月~12月のインフレ率は2.71%であった。2017年の政府一般予算における想定では,同インフレ率は5.03%であったが,結果的にそれを下回った(2016年のインフレ率は4%,本年のインフレ率予想は4.49%)。
(2)鉱物資源関係
(1)リチウム関係
ア 9日,モラレス大統領は,ウユニ塩湖における塩化カリウム製造プラント(炭酸リチウム製造の前段階で抽出)を視察し,同プラントの工事の進捗状況が97%であり,本年8月に完成する予定であると述べた。また,同大統領は,同プラントにおける塩化カリウムの最大生産量として35万トンが見込まれており,既に複数の国々が購入に関心を表明していると述べた。イ モラレス大統領に同行したエチャス・エネルギー省ハイテク・エネルギー担当次官は,同プラント建設への投資額が1億7,800万米ドル(現在までの執行率は94%)に達したと述べた。また,同次官は,今月28日には試運転が行われる予定であり,同プラントで働く人員は約210名を見込み,肥料等として使用される塩化カリウムは,主にコチャバンバ県チャパレ地域で利用される予定であると説明した。
ウ モラレス大統領は,リチウムの産業化のパートナー企業に関し,露,米国,中国,欧州の企業が関心を表明しているが,ボリビア政府としてはまだ決定していないと述べた。一方,同大統領は,本年末又は2019年初めには,リチウムの産業化が可能であると強調した。
エ 22日,モラレス大統領は,リチウム産業化のパートナーについて,「技術者チームによれば,独企業が最も進展している」と述べた。
オ 24日,モンテネグロ・ボリビア・リチウム公社(YLB)総裁は,五つの国際企業が,炭酸リチウム製造プラント建設に向けた技術及び建設に関する提案書を提出したと述べた。企業の内訳は,(1)TSKグループ(西),(2)CHALIECO(Chaina Alminium Internacional Engineering Corporation Limited,中国),(3)MAISONグループ(中国) (4)Intecsa社(西),(5)AFK/ACLグループ(報道には明記されていないが可能性として独)である。エチャス・エネルギー省ハイテク・エネルギー次官は,本年3月に契約の署名を予定していると述べた。
(2)鉱物資源関係
ア 17日付報道は,鉱業冶金省のデータによれば,2017年9月までのボリビア産鉱物の三大輸出先国は,日本,インド,韓国であったと報じた。日本の輸入額は4億1,920万米ドル(全鉱物輸出額の15.5%),インドの輸入額は3億8,070万米ドル(同14%),韓国の輸入額は3億5,870万米ドル(同13.3%)。第4位以降は米国,中国,アラブ首長国連邦,ベルギー,オーストラリア,オランダ,加となっている。イ 24日,ナバロ鉱業冶金大臣は,政府がサンタクルス県におけるMutún製鉄工場プロジェクトのため,中国輸出入銀行(Exim bank)から3億9,600万米ドルの借款契約署名を許可する最高政令第3468号を承認した,と発表した。中国からの同借款で全体の85%を負担し,残りの15%(約7,000万米ドル)はボリビア政府が負担する予定である(当館注:Mutún製鉄工場は,2008年,印のジンダル・スティール社が国際入札を経て同工場の投資及び建設に関しボリビア政府と契約を結んだが,大型トラック及び粉砕機の購入(約100万米ドル)以外は,同社の運転資金不足のため契約が履行できなかったため,契約破棄となった経緯有り)。
3 その他
10日及び11日付報道によれば,モラレス大統領は,ポトシ県ウユニ市に建設中の60メガワットの太陽光発電所に約6,270万米ドルの投資を行い,本年3月に落成する予定であると述べた。
(了)